VHS
読み:ヴィーエイチエス
外語:VHS: Video Home System
日本ビクターが開発した、家庭用ビデオ
テープ
及びそのデッキの標準規格の一つ。1976(昭和51)年に第1号機「HR-3300」が発売された。
目次
概要
特徴
ヘッド
テープ
VHS-C
後継機
S-VHS
D-VHS
W-VHS
概要
家庭用ビデオデッキとして作られて広く普及、家庭用のアナログ映像録再機としては最後まで生き残った。
開発はソニーの
Betamax
より遅れたが、パラレルローディング方式を採用することによるデッキの小型化、DL-FM方式を採用し長時間再生でも画質の乱れを減少、2時間録画への対応など、当初の目標を達成した。
松下電器産業
(現・
パナソニック
)や
日立製作所
、
三菱電機
などと共同し、それぞれ技術を出し合って開発されたVHSは非常に完成度が高く、当初は不可能と思われたソニーのBetamaxに勝るという快挙を達成した。誕生の苦労話についてはNHKのプロジェクトX 第2回で紹介されている。
長く使用されたが、DVDなどに移行したことを受け、続々とVHS方式の家庭用ビデオテープレコーダーは生産が終了された。パナソニックは2011(平成23)年末で日本国内向けの生産を終了し、2012(平成24)年2月に発表された。国内勢最後の船井電機も、2016(平成28)年7月末で生産が終了、日本におけるVHSの時代は幕が閉じた。
特徴
ヘッド
VHSは固定ヘッドと回転ヘッドの両方が利用されており、ごく初期のものは映像は回転ヘッド、モノラル音声を固定ヘッドが受け持っていた。
後にVHS
Hi-Fi
対応機が登場し、これはステレオ
音声信号
をFM変調した上で専用の回転ヘッドによりテープに深層記録した。またテープの記録層も2層となり、表面部が映像、深層部がHi-Fi音声用となった。従来と互換性を持たせたまま高音質化を実現させたVHS Hi-Fiは、後のVHSの標準となった。
高級機では消去専用の回転消去ヘッド(
フライングイレースヘッド
)を持つが、低価格なものは固定消去ヘッド(フルイレースヘッド)でテープは横一直線で全信号が消去される。
テープ上の
映像信号
のトラック幅は標準で58μm、3倍で19.2μmである。
テープ
VHSのテープ幅は1/2インチ(1.27cm)であるが、後にはテープ媒体自体の大きさがネックとなった。
そこで映画マニアやアニメマニアを中心に
8mm
(後の
Hi8
)等に移行する者も多かった。なぜならテープのサイズは、テープを大量に抱える人にとっては切実な問題だったためである。
また、ビデオカメラでの利用でも、大きすぎて搭載できないという問題が生じた。
VHS-C
ビデオカメラで用途として登場したのが、コンパクトな
VHS-C
である。
映像フォーマットおよびテープ幅は同じで、カセットを小型化した。カセット変換アダプターと呼ばれるものを使うと通常のVHSビデオデッキでも再生できるが、通常はカメラ自体で再生してテレビに映すことが多かった。
そうであればVHSである必要自体がなく、この分野では
8mm
(
Hi8
)の方が優勢となり、VHS-Cは普及しなかった。
後継機
S-VHS
高画質録画を可能とした後継機が
S-VHS
である。
ある程度の普及は見たが、価格が高かったこともあり、VHSを置き換えるには至らなかった。
D-VHS
DVD
並かそれ以上の画質でディジタル録画可能な、
D-VHS
規格が発表された。しかし普及することはなかった。
デッキ自体に
エンコーダー
があれば、アナログ信号を入力してディジタル録画も可能だった。VHSの上位互換であるため、アナログ録画、つまり通常のVHS記録は無条件で可能である。
主として衛星放送の録画用途として利用され、データ記録も可能だったが実機が登場したのかは不明である。
W-VHS
またハイビジョン対応の
W-VHS
という規格もある。
これも普及しなかった。
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