OpenBSD
読み:オープンビーエスディー
外語:OpenBSD

 386BSD4.4BSD-Liteをベースに、NetBSDから生まれたオープンソースBSDの一つ。
目次

情報

概要
 南アフリカ出身カナダ在住のプログラマー、シオ・デ・ラット(Theo de Raadt)により開発が始められたBSDである。
 氏はかつてNetBSDの主要開発者だったが、態度が悪いあるNetBSDユーザーと折が合わなかった。NetBSD開発者グループからも責められることとなり、結果、喧嘩別れすることになる。ここに至る経緯は、今も氏のページでcoremail(迷惑メール)と題して公開されている。
 かくしてTheoは独立、OpenBSDを樹立した。NetBSDとの違い、つまりセールスポイントをどこに置くかは後付けであり、これが今OpenBSD最大の特徴である「セキュリティ」となった。このセキュリティ性能の高いBSDは偶然の産物だが、怪我の功名であるともいえる。

特徴

セキュリティ
 OpenBSDの基本コンセプトはセキュリティである。このため、セキュアなサーバーを立てたい時、FreeBSDなどより、少しだけ手が抜けるらしい。
 他のBSD系のOSに比べ、脆弱性が出ないようなコーディングが徹底して行なわれているのが特徴である。特に、バッファーオーバーフローを避けることはdjbなどと同様の努力がなされており、strcpyの代替としてstrlcpy、strcatの代替としてstrlcatなどの関数を用意している。
 また、デフォルトインストールでは殆どのサービスが停止されている。これまでに、デフォルトインストールで発生したリモートセキュリティホールが二つしかないことが売り文句にもなっている。それぞれ、OpenSSHとIPv6スタックで発生していた。

コンセプト
 FreeBSDなどと違って多機能を目指してはおらず、地道なバグ修正等を日々行なっているようだが、OpenBSDから他のBSD系のOSに移植された機能も多い。
 SSHの実装の代表であるOpenSSH、パケットフィルターのPF(Packet Filter)などは、元々はOpenBSD用の実装として登場したが、いまでは他のBSDにも移植されて使われている。

GPLコード排除
 OpenBSDで最も評価されるべきことは、GPLコードの排除を黙々と進めていることである。
 GNUコマンド類を、次々とBSDライセンスのものに置き換えている。BSDライセンスであればソースの開示が不要なので、商用ソフトウェアなども作りやすく、GPLに縛られていて安心して使えないLinuxなど以上に、商用ソフトウェアが揃う可能性がある。
 目下最大の課題はGCCの後継である。FreeBSDはclang/LLVMを選択したが、OpenBSDはそれより前に、Portable C Compiler(PCC)の導入が試みられていた。FreeBSD等でclang/LLVMが実用化されたことから、将来的にOpenBSDにも導入される見込みである。

稼動機種
 NetBSDには及ばないものの、OpenBSDも様々なアーキテクチャーに対応している。
 OpenBSD 5.5時点で21アーキテクチャー版がリリースされているようである(ABC順)。

資金難
 OpenBSDプロジェクトは、サーバー運用の電気代として年間2万カナダドル(約192万円)を要しているとされる。
 しかし資金不足のため電気代が工面できず、プロジェクトは停止の危機に陥っていると報じられている。
 組み込み機器での採用が多いほか、OpenBSDプロジェクトの開発するOpenSSHはLinux含め様々な環境で利用されてはいるものの、金銭的には厳しい状況のようである。

一覧表

全リリース版
 OpenBSDの全てのリリースバージョン一覧は、次のとおりである。
 日付は、原則としてアナウンス発表日(4.5まではUTC)である。概ね半年ごとに更新されている。

最近の版の更新履歴

OpenBSD 5.5

OpenBSD 5.4

OpenBSD 5.3

OpenBSD 5.2

OpenBSD 5.1

OpenBSD 5.0

OpenBSD 4.9

OpenBSD 4.8

OpenBSD 4.7

OpenBSD 4.6

マスコット
 BSDとしてはデーモン君がいるが、OpenBSD独自のマスコットキャラクターもある。
 公式マスコットキャラクターは、全く可愛くなくドゲトゲだらけのフグ「Puffy」(パフィー君)である。

リリースソング
 OpenBSDは、OpenBSD 3.0以降、リリース時に「リリースソング」を公開するのが恒例となっており、MP3やOGG形式で公開されている。これは、他のOSに類例がない、OpenBSD独自のものである。
 一つのバージョンで数曲公開されることもあり、BSDフリークの音楽家達は、ここぞとばかりに本気で遊んでいるらしい。曲だけでなく歌詞も本気で作っておりボーカル付きで公開されている。
 歌詞の内容は当然ながら(?)コンピューターに関するものであるが、曲はいろいろなところからのインスパイアが認められる。例えば、5.1の "Bug Busters!" は、オリジナル曲なのだが、しかし誰が聞いてもGhostbustersであるし、曲の題名からしてもネタ元が明らかである。アメリカンなギャグセンスあってこそのギークなのであろう。

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