OpenBSD
読み:オープンビーエスディー
外語:OpenBSD
386BSD
と
4.4BSD-Lite
をベースに、
NetBSD
から生まれた
オープンソース
系
BSD
の一つ。
目次
情報
概要
特徴
セキュリティ
コンセプト
GPLコード排除
稼動機種
資金難
一覧表
全リリース版
最近の版の更新履歴
OpenBSD 5.5
OpenBSD 5.4
OpenBSD 5.3
OpenBSD 5.2
OpenBSD 5.1
OpenBSD 5.0
OpenBSD 4.9
OpenBSD 4.8
OpenBSD 4.7
OpenBSD 4.6
マスコット
リリースソング
情報
使用途 ‐
オペレーティングシステム
カーネル
系統 ‐
BSD
種別 ‐
モノリシックカーネル
開発者 ‐ OpenBSD project
最新版 ‐ 5.5 (2014(平成26)年5月1日)
採用技術
アップデート ‐
ports
パッケージ ‐ Packages
UI ‐ pdksh(CUI)、FVWM(GUI)
ライセンス ‐
BSDライセンス
概要
南アフリカ出身カナダ在住の
プログラマー
、シオ・デ・ラット(Theo de Raadt)により開発が始められたBSDである。
氏はかつて
NetBSD
の主要開発者だったが、態度が悪いあるNetBSDユーザーと折が合わなかった。NetBSD開発者グループからも責められることとなり、結果、喧嘩別れすることになる。ここに至る経緯は、今も氏のページで
coremail(迷惑メール)
と題して公開されている。
かくしてTheoは独立、OpenBSDを樹立した。NetBSDとの違い、つまりセールスポイントをどこに置くかは後付けであり、これが今OpenBSD最大の特徴である「セキュリティ」となった。このセキュリティ性能の高いBSDは偶然の産物だが、怪我の功名であるともいえる。
特徴
セキュリティ
OpenBSDの基本コンセプトはセキュリティである。このため、セキュアなサーバーを立てたい時、
FreeBSD
などより、少しだけ手が抜けるらしい。
他のBSD系のOSに比べ、脆弱性が出ないようなコーディングが徹底して行なわれているのが特徴である。特に、
バッファーオーバーフロー
を避けることは
djb
などと同様の努力がなされており、
strcpy
の代替として
strlcpy
、strcatの代替としてstrlcatなどの関数を用意している。
また、デフォルトインストールでは殆どのサービスが停止されている。これまでに、デフォルトインストールで発生したリモートセキュリティホールが二つしかないことが売り文句にもなっている。それぞれ、OpenSSHとIPv6スタックで発生していた。
コンセプト
FreeBSDなどと違って多機能を目指してはおらず、地道なバグ修正等を日々行なっているようだが、OpenBSDから他のBSD系のOSに移植された機能も多い。
SSHの実装の代表であるOpenSSH、パケットフィルターのPF(Packet Filter)などは、元々はOpenBSD用の実装として登場したが、いまでは他のBSDにも移植されて使われている。
GPLコード排除
OpenBSDで最も評価されるべきことは、
GPL
コードの排除を黙々と進めていることである。
GNUコマンド類を、次々と
BSDライセンス
のものに置き換えている。BSDライセンスであればソースの開示が不要なので、商用ソフトウェアなども作りやすく、GPLに縛られていて安心して使えないLinuxなど以上に、商用ソフトウェアが揃う可能性がある。
目下最大の課題はGCCの後継である。FreeBSDは
clang/LLVM
を選択したが、OpenBSDはそれより前に、Portable C Compiler(PCC)の導入が試みられていた。FreeBSD等でclang/LLVMが実用化されたことから、将来的にOpenBSDにも導入される見込みである。
稼動機種
NetBSDには及ばないものの、OpenBSDも様々なアーキテクチャーに対応している。
OpenBSD 5.5時点で21アーキテクチャー版がリリースされているようである(ABC順)。
OpenBSD/alpha
OpenBSD/amd64
OpenBSD/armish
OpenBSD/armv7 (旧称 OpenBSD/beagle)
OpenBSD/aviion
OpenBSD/hp300
OpenBSD/hppa
OpenBSD/i386
OpenBSD/landisk
OpenBSD/loongson
OpenBSD/luna88k
OpenBSD/macppc
OpenBSD/mvme68k
OpenBSD/mvme88k
OpenBSD/octeon
OpenBSD/sgi
OpenBSD/socppc
OpenBSD/sparc
OpenBSD/sparc64
OpenBSD/vax
OpenBSD/zaurus
資金難
OpenBSDプロジェクトは、サーバー運用の電気代として年間2万カナダドル(約192万円)を要しているとされる。
しかし資金不足のため電気代が工面できず、プロジェクトは停止の危機に陥っていると報じられている。
組み込み機器での採用が多いほか、OpenBSDプロジェクトの開発するOpenSSHはLinux含め様々な環境で利用されてはいるものの、金銭的には厳しい状況のようである。
一覧表
全リリース版
OpenBSDの全てのリリースバージョン一覧は、次のとおりである。
日付は、原則としてアナウンス発表日(4.5まではUTC)である。概ね半年ごとに更新されている。
OpenBSD 5.5 (2014(平成26)年5月1日)
OpenBSD 5.4 (2013(平成25)年11月1日)
OpenBSD 5.3 (2013(平成25)年5月1日)
OpenBSD 5.2 (2012(平成24)年11月1日)
OpenBSD 5.1 (2012(平成24)年5月1日)
OpenBSD 5.0 (2011(平成23)年11月1日)
OpenBSD 4.9 (2011(平成23)年5月1日)
OpenBSD 4.8 (2010(平成22)年11月1日)
OpenBSD 4.7 (2010(平成22)年5月19日)
OpenBSD 4.6 (2009(平成21)年10月18日)
OpenBSD 4.5 (2009(平成21)年5月1日)
OpenBSD 4.4 (2008(平成20)年10月1日)
OpenBSD 4.3 (2008(平成20)年5月1日)
OpenBSD 4.2 (2007(平成19)年11月1日)
OpenBSD 4.1 (2007(平成19)年5月1日)
OpenBSD 4.0 (2006(平成18)年11月1日)
OpenBSD 3.9 (2006(平成18)年5月1日)
OpenBSD 3.8 (2005(平成17)年11月1日)
OpenBSD 3.7 (2005(平成17)年5月1日)
OpenBSD 3.6 (2004(平成16)年11月1日)
OpenBSD 3.5 (2004(平成16)年5月1日)
OpenBSD 3.4 (2003(平成15)年11月1日)
OpenBSD 3.3 (2003(平成15)年5月1日)
OpenBSD 3.2 (2002(平成14)年11月1日)
OpenBSD 3.1 (2002(平成14)年5月19日)
OpenBSD 3.0 (2001(平成13)年11月1日)
OpenBSD 2.9 (2001(平成13)年6月1日)
OpenBSD 2.8 (2000(平成12)年12月1日)
OpenBSD 2.7 (2000(平成12)年6月15日)
OpenBSD 2.6 (1999(平成11)年12月1日)
OpenBSD 2.5 (1999(平成11)年5月19日)
OpenBSD 2.4 (1998(平成10)年12月1日)
OpenBSD 2.3 (1998(平成10)年5月19日)
OpenBSD 2.2 (1997(平成9)年12月1日)
OpenBSD 2.1 (1997(平成9)年6月1日)
OpenBSD 2.0 (1996(平成8)年10月18日)
最近の版の更新履歴
OpenBSD 5.5
全プラットフォームで
time_t
を64ビット化
リリースとパッケージは、signify(1)ユーティリティで署名
インストーラーの改善
OpenBSD/alphaでマルチプロセッサーに対応
OpenBSD/aviionは、88100ベースのAViiONシステムのための初のセルフホスティングリリース
OpenBSD/beagleは、OpenBSD/armv7に置き換えられた
ハードウェアサポートの改良
ジェネリックネットワークスタックの改善
ルーティングデーモンや他のユーザーランドのネットワークの改善
pf(4)の改善
dhcpd(8) と dhclient(8) の改善
iked(8) の改善
OpenSMTPD 5.4.2、OpenSSH 6.6
セキュリティの改善
パフォーマンスの向上
スレッディングの改善
OpenBSD 5.4
ネットワークスタックの改善
ルーティングデーモンや他のユーザーランドのネットワークの改善
dhcpd(8) の改善
dhclient(8) の改善
OpenSSH 6.3とOpenSMTPD 5.3.3
新しいハードウェアの対応の追加
パフォーマンスの向上、スレッディングの改善
OpenBSD 5.3
OpenSSH 6.2とOpenSMTPD 5.3
セキュリティの改善
パフォーマンスの向上
スレッディングの改善
新しいハードウェアの対応の追加
OpenBSD 5.2
pthreadsによるスレッド機構を、従来のユーザーレベルスレッドからカーネルレベルスレッドに変更し、複数のCPUやコアをより有効利用可能とした
スピンロック
やバリアルーチンの追加、
ミューテックス
などの実装
x86アーキテクチャーにおけるハイバネーションへの対応
タッチパッド対応
新しいハードウェアの対応の追加
OpenBSD 5.1
OpenSSH 6.0
ネットワークスタックの改善
pf(4)の改善
softraid(4)の改善
localeの改善
smtpd(8)の更新
OpenBSD 5.0
システム割り込みMSI(Message Signaled Interrupt)対応
dma-safeメモリーの割り当てを容易にする新API対応
大規模メモリーへの対応
DUID(Disk UID)ディスクインストールに完全対応
GNOME 2.32.2、KDE 3.5.10、Xfce 4.8.0
OpenSSH 5.9
PHP 5.2.17/5.3.6、Python 2.4.6/2.5.4/2.7.1
Firefox 3.5.19/3.6.18/5.0、Chromium 12
LibreOffice 3.4.1
OpenBSD 4.9
64コアマシンでのブートに対応
カーネルブートディスクを、16個以上に対応
NTFS機能を標準で有効化(ただしリードオンリー)
IPsecスタックの改善
SCSI関連コードの改善
OpenSSH 5.8
OpenBSD 4.8
新規追加ドライバー acpisony(4)、itherm(4)、se(4)、uguru(4)、owctr(4)、pgs(4)
更新されたドライバー em(4)、uaudio(4)、wbsio(4)、re(4)、udl(4)、envy(4)、inteldrm(4)、agp(4)
削除されたドライバー ss(4)、usscanner(4)
iked(8)、ldapd(8)の追加
OpenSSH 5.6
GNOME 2.30.2、KDE 3.5.10
X.Org 7.5(X.Org Server 1.8/Mesa 7.5.2)
Mozilla Firefox 3.6.8
OpenOffice.org 3.2.1
PHP 5.2.13
Mono 2.6.4
OpenBSD 4.7
サポートするプラットフォームの追加
新しい
デバイスドライバー
の追加
ewfs_ext2fs(8)、mkuboot(8)、midicat(1)、fuser(1)の追加
pf(4)の改善
OpenBGPD、OpenOSPFDおよび他のルーティングデーモンの改善
ネットワークスタックの改善
OpenSSH 5.5
OpenBSD 4.6
Motorola、SPARC/SPARC 64、SGIなどへの対応の強化
新しいデバイスドライバーの追加
特権分離に対応したSMTPデーモンsmtpd(8)の追加
新しいターミナルマルチプレクサーtmux(1)の追加
pf(4)の改善
GNOME 2.24.3、KDE 3.5.10
PHP 5.2.10
Python 2.4.6/2.5.4/2.6.2
Ruby 1.8.6.369
マスコット
BSDとしてはデーモン君がいるが、OpenBSD独自のマスコットキャラクターもある。
公式マスコットキャラクターは、全く可愛くなくドゲトゲだらけのフグ「Puffy」(パフィー君)である。
リリースソング
OpenBSDは、OpenBSD 3.0以降、リリース時に「リリースソング」を公開するのが恒例となっており、
MP3やOGG形式で公開されている
。これは、他のOSに類例がない、OpenBSD独自のものである。
一つのバージョンで数曲公開されることもあり、BSDフリークの音楽家達は、ここぞとばかりに本気で遊んでいるらしい。曲だけでなく歌詞も本気で作っておりボーカル付きで公開されている。
歌詞の内容は当然ながら(?)コンピューターに関するものであるが、曲はいろいろなところからのインスパイアが認められる。例えば、5.1の "Bug Busters!" は、オリジナル曲なのだが、しかし誰が聞いてもGhostbustersであるし、曲の題名からしてもネタ元が明らかである。アメリカンなギャグセンスあってこその
ギーク
なのであろう。
5.5: "Wrap in Time"
5.4: "Our favorite hacks"
5.3: "Blade Swimmer"
5.2: "Aquarela do Linux!"
5.1: "Bug Busters!"、"Shut up and Hack"、"Sonate aux insomniaques"
5.0: "What Me Worry?"
4.9: "The Answer"
4.8: "El Puffiachi"
4.7: "I'm still here"
4.6: "Planet of the Users"
4.5: "Games"
4.4: "Trial of the BSD Knights"
4.3: "Home to Hypocrisy"
4.2: "100001 1010101"
4.1: "Puffy Baba and the 40 Vendors"
4.0: "Humppa Negala"、"OpenVOX"
3.9: "Blob!"
3.8: "Hackers of the Lost RAID"
3.7: "The Wizard of OS"
3.6: "Pond-erosa Puff (live)"
3.5: "CARP License"、"Redundancy must be free"
3.4: "The Legend of Puffy Hood"
3.3: "Puff the Barbarian"
3.2: "Goldflipper"
3.1: "Systemagic"
3.0: "E-Railed (OpenBSD Mix)"
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