磁気の性質を利用した帯状記録媒体の総称。多くは薄いフィルムの上に磁性体を塗布または蒸着したもので、この磁性体に磁気ヘッドを用いて磁化させることで情報を記録する。
テープは、恐らく電子計算機用として最古の外部記憶装置である。
このため歴史も長く、様々なものが存在している。電子計算機は長い歴史のなかで様々な「文化圏」を作っており(例えば汎用機とパーソナルコンピューターなど)、文化圏ごとに使われる磁気テープの種類は異なる。
すべての項目について、時系列通りではない。
アナログ
- オープンリール磁気テープ ‐ 1/4インチ(6.35mm)幅が主流で、業務用ではより幅広のものも使われた
- テーペット ‐ 1/4インチ(6.35mm)幅、米RCAビクター社が開発した
- カセットテープ
- コンパクトカセット(Cカセット) ‐ 0.15インチ(3.81mm)幅、広く普及した、いわゆるカセットテープ
- オー・カセ ‐ コンパクトカセットのテープをリールごと脱着可能にしたTEACの製品
- マイクロカセット ‐ コンパクトカセットのテープを小型ケースに入れたもの
- エルカセット(Lカセット) ‐ 1/4インチ(6.35mm)幅
- 8トラック ‐ 初期のカーステレオやカラオケテープで使われていた
ディジタル
- オープンリール磁気テープ ‐ アナログの場合と同様。業務用として使われる
- DAT(R-DAT) ‐ 0.15インチ(3.81mm)幅のメタルテープで、ヘリカルスキャン方式
- S-DAT ‐ ヘリカルスキャン方式ではなく、固定ヘッドを使ったDAT
- DCC ‐ コンパクトカセット上位互換のディジタル規格だが、廃れてしまった
- ADAT(Alesis Digital Audio Tape) ‐ S-VHSテープ(1/2インチ(1.27cm)幅)を使用する業務用レコーダー
- DRTS(Digital Tape Recording System) ‐ Hi8ビデオテープ(8mm幅)を使用する業務用レコーダー
- オープンリール磁気テープ ‐ 業務用
- Ampex ACR 25 ‐ 2インチ(5.08cm)幅のテープを使用した
- U規格 ‐ 3/4インチ(1.91cm)幅のテープを使用した
- VX方式 ‐ 1/2インチ(1.27cm)幅、VHS/ベータ以前に、当時の松下寿電子工業が開発した家庭用VTR規格
- Betamax ‐ 1/2インチ(1.27cm)幅、VHSに敗北し普及しなかった
- BETACAM ‐ 1/2インチ(1.27cm)幅、Betamaxとは互換性のない業務用規格として普及した
- VHS ‐ 1/2インチ(1.27cm)幅、世界的に普及した
- VHS-C ‐ カセットだけを小型化したもの
- S-VHS ‐ 高画質化した後継規格
- S-VHS-C ‐ S-VHSテープをVHS-Cと同じサイズに小型化したもの
- W-VHS ‐ HDTV対応した後継規格、普及しなかった
- D-VHS ‐ ディジタル録画対応した後継規格、普及しなかった
- M規格(Mビジョン) ‐ VHSテープを用いた業務用の高画質規格、普及しなかった
- MII規格 ‐ M規格とは互換性がない後継仕様。NHKが採用したが、普及しなかった
- 8mm ‐ 8mm幅、テープが小型なのが利点だった。VHSには負けたが、一定のシェアは獲得していた
- UNIHI ‐ 1/2インチ(1.27cm)幅、MUSE方式の放送の時代に普及した
- DV(DVC) ‐ 1/4インチ(6.35mm)幅、家庭用のディジタル録画規格だが、普及しなかった
- MiniDV ‐ カセットを小型化したもの
- DVCPRO ‐ 塗布型テープ(MP)を使用した業務用、普及しなかった
- DVCAM ‐ 業務用、普及しなかった
- MICROMV ‐ 0.15インチ(3.81mm)幅、超小型カセットを用いる民生用カムコーダー向け規格、普及しなかった
- 業務用ディジタルシリーズ
- D-1 ‐ 3/4インチ(1.91cm)幅
- D-2 ‐ 3/4インチ(1.91cm)幅
- D-3 ‐ 1/2インチ(1.27cm)幅
- D-9 (Digital-S) ‐ VHS-Cのような大きさで、1/2インチ(1.27cm)幅メタルテープを使用する、ビクターが開発した業務用規格、普及しなかった
リニア記録(固定ヘッド)
- オープンリール磁気テープ ‐ 汎用機でよく使われていた
- CMT(Cassette Magnetic Tape) ‐ 0.15インチ(3.81mm)幅、音楽用のコンパクトカセット(Cカセット)を使ったもの
- CMT(Cartridge Magnetic Tape) ‐ 1/2インチ(1.27cm)幅、IBMが開発した磁気テープ技術
- DLT ‐ 1/2インチ(1.27cm)幅
- LTO Ultrium ‐ 1/2インチ(1.27cm)幅
- Travan ‐ 8mm幅
- QIC ‐ 1/4インチ(6.35mm)幅
- IBM技術 ‐ IBMが開発した磁気テープ技術
- IBM 3480 ‐ 1/2インチ(1.27cm)幅
- IBM 3490E ‐ 1/2インチ(1.27cm)幅
- IBM 3590 ‐ 1/2インチ(1.27cm)幅
- IBM 3592 ‐ 1/2インチ(1.27cm)幅
- IBM 9490 ‐ 1/2インチ(1.27cm)幅
- IBM 9840 ‐ 1/2インチ(1.27cm)幅
- IBM 9940 ‐ 1/2インチ(1.27cm)幅
ヘリカルスキャン
- AIT ‐ 8mm幅
- D8フォーマット ‐ 8mm幅、Exabyteが開発した、8mmビデオテープのデータ用
- DDS ‐ 0.15インチ(3.81mm)幅、データ用のDAT
- DTF ‐ 1/2インチ(1.27cm)幅
大型汎用機、メインフレームなどを使う事務処理系業界では、古くよりオープンリール磁気テープが使われてきた。
ダウンサイジングとしてパーソナルコンピューターによるUNIXシステムも普及したが、21世紀に入ってもなお現役であり特に日本で重用されている。ただし、この時代になると市販されているテープを使わざるを得ないことから、LTO Ultriumなどが使われる例が多い。
UNIX系サーバーシステムなどでは、パーソナルコンピューター(PC)を使用するため、オープンリールではなく初期よりカートリッジ型のものが多く使われている。
この流れを汲む、他のオペレーティングシステム(OS)を採用する多くのパーソナルコンピューターでは、同様にカートリッジ型が主流となった。太古のPCでは音楽用のコンパクトカセットなどが使われたが、現在は専用のテープが使われている。この専用のテープはかつてストリーマーと呼ばれていたが、この呼称はいつの間にか廃れている。
種類
パーソナルコンピューターで現在主流として使われていたり、かつて主流だった主なもの。
- AIT
- 8mm幅のデータ専用テープ
- D8フォーマット
- 8mmビデオテープのデータ用
- DDS(DAT)
- DATのデータ用
- DLT
- 0.5インチ(1.27cm)幅のデータ専用テープ
- LTO Ultrium
- 0.5インチ(1.27cm)幅のデータ専用テープ
- QIC
- 1/4インチ(6.35mm)幅のデータ専用テープ
- SDLT(Super DLT)
- 0.5インチ(1.27cm)幅のデータ専用テープ。DLTの後継
- Travan
- 8mm幅のデータ専用テープ
- DTF
- 0.5インチ(1.27cm)幅のデータ専用ハイエンドテープ
テープ幅による分類
- 4mm
- DDS(DAT)
- 1/4インチ(6.35mm)
- QIC
- 8mm
- AIT
- D8フォーマット
- Travan
- QIC-Wide
- 0.5インチ(1.27cm)
- DLT
- LTO Ultrium
- SDLT (Super DLT)
- DTF
無圧縮時容量による分類
- 7Gバイト
- D8フォーマット
- 20Gバイト
- DDS (DDS-4)
- Travan (TRAVAN 40GB)
- 40Gバイト
- DLT (DLT-4)
- 42Gバイト
- DTF (DTF-1)
- 200Gバイト
- DTF (DTF-2)
- 300Gバイト
- SDLT (Super DLTtapeII)
- 400Gバイト
- AIT (AIT-5)
- 2.5Tバイト
- LTO Ultrium (LTO Ultrium 6)
圧縮時容量による分類
- 14Gバイト
- D8フォーマット
- 40Gバイト
- DDS (DDS-4)
- Travan (TRAVAN 40GB)
- 80Gバイト
- DLT (DLT-4)
- 108Gバイト
- DTF (DTF-1)
- 518Gバイト
- DTF (DTF-2)
- 600Gバイト
- SDLT (Super DLTtapeII)
- 1040Gバイト
- AIT (AIT-5)
- 6.25Tバイト
- LTO Ultrium (LTO Ultrium 6)
用語の所属
テープ
MT
関連する用語
テープドライブ
オープンリール磁気テープ