HIV
読み:エイチアイヴィー
外語:HIV: Human Immunodeficiency Virus

 ヒト免疫不全ウイルス。後天性免疫不全症候群ことAIDS(エイズ)を引き起こすウイルスで、エイズウイルスとも呼ばれるRNAウイルス
目次

情報
 現在のウイルス学では、次のように分類される。

分類

学名


 現在HIVは二種類が確認されている。

特徴

挙動
 HIVは、ヒトのリンパ球であるヘルパーT細胞(Th2)に取り付き、その機能を破壊しながら増殖する。
 T細胞免疫システムを動作させる中枢ともいえる存在で、この機能が破壊されると免疫システム全体が働かなくなってしまうため致死的である。
 抗HIVワクチン作りが困難なのは、このように免疫が破壊されること、HIVが細胞と一体化することが理由で、通常ならワクチンによって活性化する免疫細胞が機能しないためウイルスの排除が出来ないことによる。

感染
 HIVは、感染者の体液(血液精液、腺液)などに含まれる。
 一度体内に入るとリンパ球に侵入し、感染者が死ぬまで生き続けるが、体外では生存出来ない。ウイルスの感染力は弱く、性行為、薬物の回し打ち、輸血などでしか他人には感染しない。
 性行為での感染が最も多い。これもコンドームを利用することである程度の予防は可能であるとはされている。

抗体
 HIVに感染すると、3ヶ月程度で血清中に抗HIV抗体ができる。
 言い換えれば、感染後3ヶ月以内では、仮に検査をしても陰性になってしまう。これが現在の検査の限界であり、この期間をウインドウ・ピリオドという。
 現在の検査の主流は抗体検査であり、献血の日本赤十字社でもほぼ同様である。従って、HIV感染を心配している人(思い当たる日から3ヶ月以内の人)は献血をしてはいけない。
 検査希望であれば、全国の保健所で匿名無料(但し、様々な質問には答えなければならない)、医療機関でも有料だが検査可能(保険が効かないため2,000円程度の実費負担)である。

起源

ウイルスの初出
 ウイルスの起源については諸説あり、現在もなお研究中である。
 最も有力な説としては、アフリカ中西部のサルのエイズウイルス(SIV)が、チンパンジーからヒトに感染し、HIVが発生したとする。
 ウイルスの塩基配列については、最初に発見されたHIV-1はチンパンジーのサル免疫不全ウイルスSIVcpzに近く、次に発見されたHIV-2は旧世界ザルのスーティマンガベーから分離されたウイルスSIVsmに近い。
 これら野生動物はSIVに自然感染していることから、感染したチンパンジーを人間が獲って食べたり、スーティマンガベーと人間が接触することで人間へと感染し、やがてHIV-1やHIV-2が誕生したと考えられている。

HIVの名
 HIVの名は、1986(昭和61)年5月にウイルス分類国際委員会によって命名された。

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