軽油
読み:けいゆ
外語:light oil

 石油製品の一種で、原油を分留して得られるものの一つ。原油沸点で分留して得る油。
目次

概要
 炭素数10〜20程度のアルカンが主成分である。
 ディーゼルエンジン用の燃料としてよく使われており、このためディーゼル燃料とも呼ばれている。
 「軽油」という名前は、「重油」に対して付けられたものであり、決して軽自動車用という意味ではない。
 日本で市販されている軽自動車は、その大半が「ガソリン車」である。軽油を入れても走行できないので注意。

特徴

地域・季節の差
 ガソリンスタンドにおいて、軽油のノズルは日本全国、緑色で統一されている。
 しかし、販売される軽油は「5種類」もあり、それぞれ特性が異なるほか、地域や季節ごとに販売される種類は変化している。地域や季節に合わない軽油を使用すると、うまく車が走らないという問題を生じる。
 軽油は、その地域にあったものを使用する必要がある。

種類
 5種類の軽油の主な違いは、流動性を保つ最低温度「流動点」である。
 流動性が確保できない低温になると、油中のワックス成分が固化してしまい、目詰まりしてしまう。
 軽油は、流動点が高い順に、次がJISで定められている。
 うち、3号と特3号は寒冷地用の軽油である。

地域ごとの違い
 気温の高い沖縄県では、年間を通じて流動点の高い「特1号」が販売される。
 関東では、夏場(6月〜9月)は「特1号」、冬場(12月〜3月)は「2号」、それ以外は「1号」が販売されている。
 寒冷地用の「3号」は、中部の山岳部および東北以北の冬期に販売され、「特3号」は道南を除く北海道の冬期(1月〜3月)に販売されている。

冬期における長距離移動時の注意
 関東の冬期に販売される「2号」の流動点は-7.5℃であるが、寒冷地では問題になることがある。
 ましてや、沖縄で販売される「特1号」(流動点は5℃)のように氷点下を想定していない軽油を冬期の北海道で使うことは難しい。
 この逆に、寒冷地用の軽油を温暖な地域で使っても問題がある。寒冷地用の軽油は低い温度でも引火するように作られているため、温暖な地域で使うと過剰に揮発してしまう。燃費が悪くなり、環境にも悪影響である。

補足

税金
 日本では、軽油引取税、通称「軽油税」が掛けられている。
 2008(平成20)年2月時点で、32.1円/Lである。
 ガソリン税と比べ、かなり安く設定されているのが特徴である。

類似の油
 軽油も他の油も、原油から分留して得る。このため、性状がよく似たものもある。
 例えば、軽油、灯油、A重油は、性状がよく似ている。
 但し品質が異なり、もって用途も異なっている。
 乗用車のエンジンは、燃料が指定されているので、指定された燃料のみを用いるようにする。
 なお、値段が安いからと灯油を用いたりすると、「脱税」という「犯罪」になるので注意。

不正軽油
 灯油やA重油は、色が付けられ、かつ「クマリン」という成分が添加されている。従って、調べればすぐ分かるようになっている。
 現在、国内で脱税を組織的に行なおうとする犯罪集団があり、社会問題化している。その構成員は、どうやら在日朝鮮人が多いようである。
 彼らは、灯油やA重油に薬剤(濃硫酸水酸化ナトリウム)を添加し、脱色やクマリン除去を施した油を「軽油」と偽って販売している。こういった軽油ではない偽の軽油を、不正軽油という。
 加工費が当然掛かるが、それでも軽油税よりは安く上がるらしく、それらは軽油より安価に密売されている。但し、これらは軽油ではない粗悪な燃料であるため、このようなものを給油してエンジンが破損してもメーカーの保証は受けられないだろう。
 また、この密造の際に発生する、いわゆる「硫酸ピッチ」の不法投棄も問題となっている。

ガソリン車に軽油を給油
 近年、セルフサービスのガソリンスタンド(いわゆる「セルフ」)で、「軽自動車」に「軽油」を誤って給油する事故が頻発していると報道されている。
 理由は様々あるのだろうが、軽油はガソリンよりも安いので、安いものを使いたいという意識が軽油を給油という考えに至るのであろう。
 
 ガソリンエンジンは、ガソリンを圧縮した後、シリンダの位置に合わせてプラグのスパークで点火する制御をしている。しかし軽油は発火点が高く、ガソリンより燃えにくいため、プラグのスパークだけでは発火させられない。
 従って、ガソリン車に誤って軽油を給油してしまうと、燃料に火が付かないため、すぐにエンジンは止まってしまう。故障するなどの大事には至らないことが多いが、タンク内の燃料を全て抜き取る必要があるため、費用が掛かる。

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