読み:ちつ
外語:vagina

 雌性生殖器の一部。子宮と体外を結ぶ管状の器官。
目次

概要
 膣は性交(交尾)の場であり、また月経のさいの血液の出口のほか、出産時の産道にもなる。
 膣の、外部に開口する部位を膣口といい、膣口と肛門の間を会陰という。

特徴

構造
 膣の長さは8cm前後で、概ね中指くらいの深さとされる。
 膣は普段は密着しているが、伸縮性に富む襞(ヒダ)状になっているため、男性器を挿入すればその太さと長さに広がり伸び、また出産の時には何倍にも広がることができる。またこの襞が、挿入された男性器に刺激を与える役目も果たす。
 膣に男性器を深く挿入し膣を伸ばそうとしても、ある程度までいくと子宮ではなく他の内臓(腸など)に当たるため、それ以上伸ばすことは難しい。ちなみに子宮は、正常位の場合は陰茎の進行方向からみて腹がわの天井部分に開口することになる。
 膣には大前庭腺口(バルトリン腺口)がある。

常在菌
 膣内は無菌ではなく、デーデルライン桿菌という特殊な乳酸菌(膣内善玉細菌)が住んでいる。
 女性は卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)によって膣壁にグリコーゲン(栄養)が蓄積されるが、この細菌によってグリコーゲンの一部が分解され乳酸が作られる。
 この乳酸によって膣内は酸性(pH約4.5)となり、外部からの病害菌などの侵入を防いでいる(膣の自浄効果)。
 なお、この酸性環境下では精子であっても敵となる。

排卵期
 排卵期になると卵胞ホルモンの分泌が抑えられるので、膣内はアルカリ性へと変わる。
 精子はアルカリ性を好むので、この時は精子は膣内を泳いで子宮へと入り、さらに卵管へと進んでいくことができる。

妊娠後
 妊娠すると卵巣の働きが一時的に停止し、代わって胎盤が働き始める。
 胎盤からは大量の卵胞ホルモンが分泌されるため、必然的に膣壁のグリコーゲンが増加、膣内の乳酸量が増えるため膣内は強酸性となる。こうすることで、子宮、延いては胎児に病害菌が近づかないようにしている。

膣の洗浄
 近年では、ビデなどで膣内を洗いすぎ、逆に膣炎などを招くケースが増えているとされる。
 せっかく外敵から守るためにデーデルライン桿菌が酸性にした膣内を中和し、細菌の侵入を許してしまっては、余計に不衛生である。

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