肝硬変
読み:かんこうへん
外語:LC: liver cirrhosis
肝臓
の重篤な疾病の一つ。
肝細胞
の破壊に伴い肝臓内に結節が生じ、これにより肝小葉が変形する疾患。
目次
概要
定義
原因
成因
特徴
進行状態
病態
門脈側副路
検査
手法
問診
触診と視診
血液検査
概要
定義
病理形態学では、次のように定義される。
肝細胞
が
壊死
/脱落しグリソン鞘と中心静脈か肝静脈間に繊維隔壁が作られる
再生結節の形成が肉眼で確認できる
肝小葉の構造が変化し循環動態が異常となる
弥漫
性の病変である
原因
肝細胞は、慢性肝炎や肝障害などで肝細胞が破壊されても再生する能力を持っている。
しかし、壊死と再生が繰り返されると繊維の増生が起こり、肝細胞は壊れた部分を補うようにして硬い繊維に囲まれながら再生してしまう。線維質が蓄積すると肝臓の中に壁ができてしまい、肝細胞は壁の中で再生し増殖するため、やがて再生結節という
細胞
の塊が作られ、肝小葉の構造が変化して機能が害されてしまう。肝臓がこのような結節の集まりに変化してしまうものが、肝硬変である。
成因
B型・C型肝炎ウイルス感染、多量・長期の飲酒、自己免疫、といったものが慢性肝炎や肝障害を引き起こし、これが徐々に進行して肝臓が硬くなった状態を肝硬変という。
一説では、次のようなものが原因となる。
12% HBV B型肝炎ウイルス感染
53% HCV C型肝炎ウイルス感染
1% HBV+HCV
18% ALD アルコール性肝硬変
3% PBC 原発性胆汁性胆管炎による肝硬変
2% AIH 自己免疫性肝硬変
11% その他
特徴
進行状態
肝硬変の進行度合いによって、次の二つに分けられる。
代償性肝硬変
(初期状態)
非代償性肝硬変
(進行状態)
病態
肝硬変で肝小葉が変形すると、
門脈
の血流が悪化する。
その結果、
代謝
などに使う有効血流量が減少し門脈圧が上昇する。こうなると血流を回復するために体は肝臓の外に別の
血管
でバイパス(門脈
大静脈
シャント(P-C))を作ってしまう。
これによって
血液
は肝臓で代謝されず直接
下大静脈
へ流れるようになり、更に血流が減ることで肝細胞の壊死が助長され肝硬変が進行してしまう。
門脈側副路
門脈内に血液が溜まった場合、何らかの
大静脈
へ繋がる別の経路が必要になる。
人間
には様々な予備の経路が用意されているが、その内の一つが奇静脈経由の経路である。
次のような経路で連絡される。
門脈
左胃静脈
食道静脈
奇静脈系
上大静脈
なぜ肝臓病で食道なのかというと、このような特徴的な経路が存在するためである。
検査
手法
肝硬変かどうかは、問診、触診、視診、血液検査、腹部超音波検査またはCTなどにより総合的に診断される。
また内視鏡検査で食道や胃の静脈が太くなる静脈瘤が確認される場合、肝硬変によるものである可能性があるため診断の助けとなる。
問診
飲酒の状況
過去の輸血
糖尿病などがないかどうか
触診と視診
みぞおちの触診で、硬い肝臓が触れる
左の肋骨の下の触診で、腫れた
脾臓
が触れる
腹水
が溜まり腹が膨らんでいる
腹の表面の血管がはっきり見える
親指の付け根付近などの手のひらが赤くなる手掌紅班(しゅしょうこうはん)
前胸部にクモが這うような(あるいは星芒状の)
毛細血管
の拡張がみられるクモ状血管腫
眼球の結膜が黄色い眼球結膜黄染 (黄疸の症状)
血液検査
肝臓には、蛋白質や脂質を合成する機能、物質を処理し体外に排泄するための機能などがあり、それらの機能が弱っていないかを判断することになるが、まだ確立されたものはない。
様々なパラメーターを与えることによって肝硬変を診断するためのスコアリングシステムが様々存在している。
どの要素を使うかはスコアリングシステムにより異なるが、使われることが多い血液検査の要素としては、次のようなものがある(順不同)。
ALT(GPT)
AST(GOT)
PT-INR
TIMP-1
α
2
‐マクログロブリン
γ-GTP
γグロブリン(抗体)
血小板数
(Plt)
総ビリルビン(T-Bil)
ヒアルロン酸
プロコラーゲンIIIペプチド(P-III-P)
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