門脈
読み:もんみゃく
外語:portal vein
胃
・
腸
・
膵臓
・
脾臓
から
血液
を集め、
肝臓
に運ぶ
静脈
系のこと。
目次
概要
側副血行路
血液の逃げ道
奇静脈経由
直腸経由
臍静脈経由
腎臓経由
肝静脈経由
概要
消化管から吸収された栄養を肝臓に運ぶことが主たる機能となる血管である。
門脈は脾静脈と下腸間膜静脈、そして上腸間膜静脈が合流して始まり、小網の肝十二指腸間膜の中を総胆管や固有肝動脈と共に走り、肝門で門脈右枝と門脈左枝に分かれて肝臓内へと入る。
門脈は前述の臓器の
毛細血管
が集まった
血管
であり、肝臓内で再び毛細血管となる特殊な静脈系である。そして肝臓に注がれる全血液量の約7割を供給する重要な血管でもある。
その血液の約75%は腸間膜静脈から流入したもので、残る約25%は脾静脈からの血液である。
側副血行路
血液の逃げ道
腸から吸収された栄養分は門脈から肝臓に入り、化学処理された後に肝静脈から
下大静脈
に繋がり
心臓
の
右心房
へと戻るのが主たる循環であるが、その他に肝臓を経由しないで大静脈系に到達する経路が幾つか存在する。
この吻合は側副血行路(または側副路)と呼ばれ、いわば血流の逃げ道であり、平時には特にこれといった機能はない。
しかし肝臓の病変によって門脈の血流が妨げられたとき、血液はこの経路を利用して大静脈系に還流し、そして心臓へと戻ることになる。
この経路には、次のようなものがある。
奇静脈経由
直腸経由
臍静脈経由
腎臓経由
肝静脈経由
その他に、肝無漿膜野から横隔膜静脈を経由して大静脈に至る経路などもある。
大抵の解剖の教科書にはいかにも大切そうに書かれている側副血行路だが、実際に重要なのは
外科医
くらいである。学生においては、
血管
よりも肝臓そのものをよく観察すべきであろう。
奇静脈経由
次のような経路で連絡される。
門脈
左胃静脈
食道周辺の静脈 (食道静脈叢=
食道静脈瘤
)
奇静脈系
上大静脈
この経路の血流が増えると食道下部に食道静脈叢(
食道静脈瘤
)を生じさせ、
吐血
の原因となる。
直腸経由
次のような経路で連絡される。
門脈
下腸間膜静脈
上直腸静脈
直腸静脈 (直腸静脈叢=痔核)
下直腸静脈
内陰部静脈
内腸骨静脈
総腸骨静脈
下大静脈
この経路の血流が増えると
直腸
下部に静脈瘤を生じさせ、痔の原因の一つとなる。
臍静脈経由
次のような経路で連絡される。
肝内門脈左枝
臍旁静脈
皮静脈(メズサの頭)
浅腹壁静脈・浅腸骨回旋静脈
大腿静脈
外腸骨静脈
総腸骨静脈
下大静脈
この経路の血流が増えると、
臍
を中心に腹壁の皮静脈が累々と浮き出るようになる。
腎臓経由
次のような経路で連絡される。
門脈
十二指腸
や
結腸
の静脈
レチウス静脈
腎静脈
下大静脈
肝静脈経由
次のような経路で連絡される。
門脈
肝静脈
下大静脈
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