望遠鏡
読み:ぼうえんきょう
外語:telescope

 遠くを拡大して見るための道具の一つ。
目次

概要
 主として天文観測に用いるものは天体望遠鏡というが、天文分野ではこれを単に望遠鏡と呼ぶ。天体望遠鏡は光学や電波を用いて遠方にある天体などを観測するために使用する。
 可視光線を観察するものは、大きく屈折望遠鏡反射望遠鏡、そして両者の特徴を併せ持つ反射屈折望遠鏡に大別される。電波望遠鏡などはおおむね反射望遠鏡に類似する形式を取る。

望遠鏡の分類

性能評価基準
 初期には、望遠鏡は倍率が大きいほどよく見えると考えられ、望遠鏡の大きさは焦点距離で表現された。
 しかし現在では、解像度(どれだけ細かいところが見えるか)の限界や集光力(どれだけ多くの光を集めることができるか)は、主に口径比例して向上することが知られているため、有効口径がもっとも代表的な大きさとして扱われている。
 肉眼を使って目視する場合の倍率は、望遠鏡の焦点距離を接眼レンズの焦点距離で割ることで得られる。ただし、倍率を上げればいくらでも細かいところまで見えるわけではなく、ドーズの限界と呼ばれる式などが知られている。

歴史

発明
 望遠鏡の原形は17世紀頃に発明された。
 天体観測に初めて用いたのはガリレオ・ガリレイである。現在ではガリレオ衛星とも呼ばれる木星の四大衛星や、土星の太陽黒点天の川の無数の星などを発見した。

改良
 最初に発明された望遠鏡は屈折望遠鏡で、対物凸レンズと接眼凹レンズを使用したガリレオ式と呼ばれている。
 その後対物・接眼ともに凸レンズを使ったケプラー式に移行するが、ガラスレンズの色収差を消すことは困難で、また望遠鏡筒が長くなるなどの問題がある。

反射望遠鏡の登場
 望遠鏡の性能向上にはレンズの大型化が必要になるが、その重さを支える設備なども考えると、必要となるコストは天文学的な数字になってしまい、屈折望遠鏡の性能向上は限度があった。
 色収差の発生しない反射望遠鏡はアイザック・ニュートンにより実用化された。その後様々な改良が加えられながら、反射望遠鏡は今もなお主流として用いられている。

接眼レンズ
 初期の望遠鏡は当然ながら目視で用いられたが、接眼レンズはレンズ1枚のみで構成されていた。現在では、複数枚のレンズを用いたものが一般的である。
 入門用の簡素なモデル以外の市販品では、
 といった規格で、差し込み式の接眼レンズが用意され、各メーカーのものが汎用的に利用できる。また、各サイズを変換するアダプターも市販されている。

写真撮影
 写真術の発明以後は、接眼レンズの変わりに写真乾板やフィルムを用いて、写真として記録もされた。撮影対象が暗く、本来想定されていない異常な長時間露光を行なうため、フィルムによっては写りやすい波長などの特性が現われた。
 1980年代に入るとCCD(電荷結合素子)が使われるようになった。乾板やフィルムは1%程度しか効率が無かったが、CCDでは80%もの入射光を捉えて電子(光電子)に変換することができる。この時用いられるCCDは動画用のものとは異なり、各画素にためた電子を露出終了後に取り出す方式が取られる。またプロ用の機材では、熱により発生する熱電子を防止するために真空容器内で竏120℃程度(150K程度)に冷却して用いるのが普通である。

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