星間分子雲
読み:せいかんぶんしうん
恒星間空間に漂う分子のかたまりのこと。
概要
星間物質(星間ガスや星間塵)が、特に濃く集った場所を星間分子雲という。
地球から観測すると暗く見えるので、暗黒星雲とも呼ばれる。
水素、酸素、水などの分子を主成分とする。
特徴
状態
星間分子雲は、いずれ原始星を経て恒星となり輝くようになる。この分子雲に、様々な分子や塵(星間塵)が存在することが観測によって明らかとなっている。
分子雲は分子や塵の密度が濃いため、恒星の光を透過しない。地球から見て背後となる恒星の光が遮断されるため、黒く見える。
このため温度も低く、おおむね10K(-263℃)程度とされている。ゆえに、殆どの分子は凍結しているとされている。
成分
地上からの観測で、凍結した物質の主成分は水、次いで一酸化炭素、メタノール、アンモニア、メタンなどを多く含んでいることが明らかとなった。
- 水素 (H2) (1333-74-0)
- 酸素 (O2) (7782-44-7)
- 水 (H2O) (7732-18-5)
- 一酸化炭素 (CO) (630-08-0)
- 青酸 (HCN) (74-90-8)
- アンモニア (NH3) (7664-41-7)
- ホルムアルデヒド (HCHO) (50-00-0)
- メタノール (CH3OH) (67-56-1)
こういった物質に、宇宙線や、宇宙線と分子が反応して生じた紫外線などが当たることで、様々な反応が誘発される。地球から遠方の星間分子雲での微小な生成物の検出はできないが、地球上で同様の環境を作っての再現実験が行なわれている。
この実験で、分子量2000程度の複雑な高分子状有機物が作られており、この生成物を加水分解するとアミノ酸の生成が確認された。つまり、宇宙空間でもアミノ酸前駆体は十分生成可能ということになる。
地球
有機物は、太陽系の隕石や彗星にも含まれている。
現在地球に有機物があり生物があるのは、これら隕石や彗星が大量に地球に降り注ぎ、地球に有機物がもたらされたため、とするのが有力である。
星間分子雲で作られた高分子は、やがてその星間分子雲が恒星となったとき、その恒星の惑星などにもたらされ、それがやがて生物となる可能性が示唆される。
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