星間分子雲
読み:せいかんぶんしうん

 恒星間空間に漂う分子のかたまりのこと。
目次

概要
 星間物質(星間ガスや星間塵)が、特に濃く集った場所を星間分子雲という。
 地球から観測すると暗く見えるので、暗黒星雲とも呼ばれる。
 水素酸素などの分子を主成分とする。

特徴

状態
 星間分子雲は、いずれ原始星を経て恒星となり輝くようになる。この分子雲に、様々な分子や塵(星間塵)が存在することが観測によって明らかとなっている。
 分子雲は分子や塵の密度が濃いため、恒星の光を透過しない。地球から見て背後となる恒星の光が遮断されるため、黒く見える。
 このため温度も低く、おおむね10K(-263℃)程度とされている。ゆえに、殆どの分子は凍結しているとされている。

成分
 地上からの観測で、凍結した物質の主成分は水、次いで一酸化炭素、メタノール、アンモニア、メタンなどを多く含んでいることが明らかとなった。
 こういった物質に、宇宙線や、宇宙線と分子が反応して生じた紫外線などが当たることで、様々な反応が誘発される。地球から遠方の星間分子雲での微小な生成物の検出はできないが、地球上で同様の環境を作っての再現実験が行なわれている。
 この実験で、分子量2000程度の複雑な高分子状有機物が作られており、この生成物を加水分解するとアミノ酸の生成が確認された。つまり、宇宙空間でもアミノ酸前駆体は十分生成可能ということになる。

地球
 有機物は、太陽系隕石彗星にも含まれている。
 現在地球に有機物があり生物があるのは、これら隕石や彗星が大量に地球に降り注ぎ、地球に有機物がもたらされたため、とするのが有力である。
 星間分子雲で作られた高分子は、やがてその星間分子雲が恒星となったとき、その恒星の惑星などにもたらされ、それがやがて生物となる可能性が示唆される。

再検索