合成洗剤
読み:ごうせいせんざい

 陰イオン界面活性剤の一つで、石油油脂から合成された洗剤。水溶性が高いため石鹸カスが残らず、また洗浄力も強いため、洗濯機と共に普及した。
目次

概要
 ナフサやコールタールから得られるアルキルベンゼンに、濃硫酸を反応させて作られることが多いようである。
 様々なものがある。初期には「分枝鎖型アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム」(ABS)が使われていたが、毒性が強く、また河川を泡だらけにすることから使用されなくなった。
 現在は「直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩」(LAS)と呼ばれるものがよく使われており、また近年では更に毒性の低い「ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル」(AE)も使われている。

特徴

性質
 合成洗剤でも石鹸でも、界面活性の作用があることは同じである。
 違いといえば、石鹸の場合は希釈すると界面活性作用が失われるが、界面活性剤の場合は希釈してもすぐには作用が失われず、かなりの低濃度でも効果が持続することにある。
 また、水溶液は石鹸は中程度のアルカリ性、合成洗剤は弱アルカリ性。石鹸は水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンの影響を受けやすい(塩が水に難溶性のため)のに対し、合成洗剤はそれらの影響を受けにくく、硬水でも使いやすい、などの差もある。
 この特性から、洗浄力が強く、石鹸の半分程度の量で済むなど僅かな量で洗濯可能なため価格も安くなり、普及した。

種類
 PRTR法(化学物質排出把握管理促進法)の第一種指定化学物質には、次のようなものが確認される。有毒性があり、環境への排出量を管理する必要のある物質である。
 2009(平成21)年改正で追加されたもの。
 以下はかつてのPRTR法にあったもの(現在は対象外)。

分解性
 合成洗剤は石鹸には無いベンゼン環(C6H6)を持つ硫酸塩である。
 ベンゼン核はトルエンなどの有機溶剤のほか様々な有機物、例えば生物を構成する蛋白質の材料となるアミノ酸のうち、フェニルアラニンチロシンにも含まれる構成部分である。
 環状構造なので、非常に分解されにくい。

毒性
 世間的には、合成洗剤は、猛毒、環境破壊であるかのように喧伝される。無毒でないことは事実だが、一般に言われているほどの毒性は無い。
 石鹸メーカーは、合成洗剤より環境に優しいとして粉末や液体石鹸を販売しているが、これも事実とは乖離している。酷い会社になると、石鹸は分解される、石鹸カスは微生物の栄養源になる、などと主張しているところもある。
 石鹸もかなりの魚毒性を示し、また純石鹸成分である脂肪酸ナトリウムはかなり強いアルカリ性を示す。

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