単相3線式
読み:たんそう-さんせんしき

 3本一組の電線電力ケーブルで配電される単相交流のこと。専門家は、これを「単3」や「単三」と略して呼ぶが、乾電池のそれとは無関係である。「1φ3w」。表記ゆれで「単相三線式」とも。
目次

概要
 日本では、1980年代以降の家屋であるか、または既に40A以上の契約では、このタイプとなる。
 分電盤へ引き込まれた線の色が、白と黒との三色の場合、この単相3線式であると判断できる。
 または、外の電力量計のメーター上に赤帯で白く「単3」と書かれていれば、単相3線式であると判断できる。

特徴

線の色
 単相3線式は2本の電圧線と1本の中性線、合計で3本の電線を使用する。
 線の色は、ニュートラル(N: Neutral)の中性線には白、ライブ(L: Live)の電圧線は、原則として黒および赤を使用する。
 黒と白、白と赤の間の電圧(線間電圧)は対地電圧100Vとなり、黒と赤の間の電圧は200Vの電圧がかかっている。このため、線の取り方によって100Vまたは200Vが得られる。

電圧線
 単相3線式では黒および赤という2本の電圧線を用いる。
 この両者は位相が逆になっていて、白の中性線を基準として、黒線の波と赤線の波の位相差は180°ある。つまりこの100V同士は極性が逆ということである。
 二つの相が供給されていることになり、それぞれがライブ(L: Live)であるので、便宜的に黒をL1相、赤をL2相と呼び分ける。

補足

60A以下
 単相2線式の場合は30Aまでしか契約できないが、単相3線式にすると倍の60Aまでの契約が可能になる。
 次のような需要がある場合は、単相3線式にしなければならない。
 電力線は、通常用いられる径の電線では一本あたり30Aまでとなっている。それを超える場合は、100Vしか使わない場合でも3線式が必要となるわけである。
 中性線を基準電位とし、二本ある電力線それぞれが30Aまでとなるため、総じて60Aまで使うことが可能になる。

60Aを超えるもの
 もし60Aでも不足なら、幹線を14sqなどで引き直した上で東京電力なら従量電灯C関西電力なら従量電灯Bなど、それなりの契約にすることで、電流制限器(アンペアブレーカー)を使わず、主開閉器(通常はELB(電流制限器付漏電遮断器)を用いる)の容量で契約をする事ができる。
 もしELBが80Aで200Vなら、80(A)×200(V)=16,000(VA)=16(kVA)となり、契約容量は16kVAになる。
 この場合の「基本料金」は税別260円×(契約容量)なので(東京電力2006(平成18)年現在)、260円×16(kVA)=4,160円(税別)となる。
 電力量料金単価は従量電灯A/B/C共に同額で、1kWh単位となる。第1段階料金から第3段階料金まであり、使えば使うほど単価が高くなりお得でない。

バランスの考慮
 屋内配線時には、エアコン・電子レンジ等の電力需要のバランスを考慮して行なう必要がある。
 もし、黒‐白接続の100V配線系統と、赤‐白接続の100V配線系統での負荷が偏ると、それぞれの系統で電圧の不平衡が発生してしまうからである。
 また、中性線切断時(これを欠相という)は著しく二系統の電圧に偏りを発生させ、機器を破損させる。これを防ぐために、「中性線欠相保護機能付きの漏電遮断器」の設置が推奨されている。

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