エリス
読み:エリス
外語:Eris
準惑星
の一つ。一時、第十惑星と目されていた
太陽系外縁天体
(
エッジワース・カイパーベルト天体
)。
目次
概要
基本情報
衛星
特徴
構成成分
天体名
歴史
天体の発見
冥王星より大きい疑い
径の判明
質量の判明
衛星発見など
準惑星
概要
基本情報
規模
直径
: 約3000km(誤差±400km) (
冥王星
より大きい)
偏率: (不明)
体積
: (不明)
質量
: (不明)
密度
: (不明)
赤道重力: (不明)
脱出速度
: (不明)
移動速度等
自転周期
: (不明)
赤道傾斜角: (不明)
公転周期
: 557地球年
平均軌道速度: (不明)
会合周期
: (不明)
公転軌道
半径
: 37.808au〜約97au (現在は約97au)
離心率
: (不明)
傾斜角
黄道面: 44.1770°
不変面: (不明)
位置
近日点黄経
: (不明)
昇交点黄経
: (不明)
符号
識別符号: 2003 UB313
小惑星番号: 136199
計算上、近日点通過時刻は2257(令和239)年1月26.1837日である。
衛星
ディスノミア
特徴
構成成分
天体の成分は、観測により、冥王星と同様に岩や氷の塊と推定される。
天体名
エリス
(Ε''ρισ、E'ris、英語でstrifeの意)は、
ギリシャ神話
の混沌と不和の女神にちなむ。彼女は軍神
アレス
(
火星
)の妹であり、アレスに従属する。女神たちの不和を生み、トロイア戦争のきっかけを作った。
元々は
ジーナ
(Xena)という名で国際天文学連合(IAU)に申請されたが、この名は採用されなかった。
エリスはアメリカ発見の準惑星だが、同様にアメリカ発見の冥王星の降格関連で(議論の)混沌と(アメリカとの)不和をもたらした事に対する皮肉が込められているものと推察されている。
歴史
天体の発見
2003(平成15)年10月21日にカリフォルニア工科大学のマイク・ブラウン博士ら観測チームにより発見された。
2005(平成17)年1月8日にカリフォルニア州パロマー天文台の口径約1.5mのサミュエル・オシン光学望遠鏡での再観測で、太陽を周回していることが観測された。
冥王星より大きい疑い
これまで、第十惑星の候補となる天体は太陽系の縁辺部に様々見つかっていたが、それらは全て「冥王星よりも小さい」という理由により、惑星とは扱われて来なかった。
ところが、この天体は18.5等と、過去発見されたエッジワース・カイパーベルト天体の中では飛び抜けて明るく、当初より冥王星よりも大きいだろうと考えられた。
こうして発見されて以降分析が続けられた結果、太陽を周回する天体であることが確認されたことに加え、暫定的な分析だが距離は太陽から約36天文単位〜約97天文単位の楕円軌道を約560年の周期で公転し、それは冥王星より倍以上離れている。
そして冥王星より1.5倍程度の大きさがあり、冥王星より大きいことは確実視された。しかし
スピッツァー宇宙望遠鏡
による観測では見付けられなかった事から、その大きさは月よりは小さいようであった。
径の判明
スピッツァー宇宙望遠鏡ではジーナの赤外線を捕らえられず、正確な径は当初不明だった。
そこでドイツ・ボン大学のベルトルディ(Bertoldi, F.)らの研究グループがスペインの
電波望遠鏡
(直径30m)を使い、2005(平成17)年8月19日から28日間かけて何度かこの天体の観測をした。そして、210GHz〜290GHz帯(波長1.2mm)の電波を用いて天体からの熱放射を捉えるのに成功した。
結果、直径は約3000kmで、反射率は0.6±0.15とかなり高いことが判明した。表面は凍った
メタン
などで覆われていると予想されている。
質量の判明
ハッブル宇宙望遠鏡などの観測データから算出された衛星ディスノミアの軌道から求められた
質量
は、冥王星より27%大きいとされた。
径だけでなく、質量も冥王星より大きいことが明らかとなり、マスコミは「冥王星二度目の降格」などと報じていた。
衛星発見など
この天体はまず、
ギリシャ神話
を舞台にした米国のテレビドラマシリーズ「Xena: warrior princess」(ジーナ: ウォーリア・プリンセス)の主人公であるお姫様から「ジーナ」と仮に命名された。
後にこの天体には衛星(S/2005 (2003 UB
313
) 1)が発見され、ジーナの忠実な相棒(共謀者)の名からGabrielle(ガブリエル)と仮に命名された。
この天体の発見により、
セドナ
の時に起こった「冥王星は惑星なのか」論争が再燃した。
準惑星
惑星よりも小さな天体系として
準惑星
というカテゴリーが作られた。
この時、この天体は準惑星となり、冥王星も惑星から降格となり準惑星になった。
後に、ジーナという名称は却下されてエリスとなり、衛星も正式には
ディスノミア
と名付けられた。
現在知られる中では、最大の大きさを持つ準惑星である。
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