ウイルス性肝炎
読み:ウイルスせい-かんえん
ウイルスによって起こる肝炎のこと。日本人の肝炎の80%はウイルス性とされている。
病因
ウイルス感染により肝臓が炎症を起こす。
主な感染経路に、食品からの経口感染、血液感染(輸血等)、母子感染(垂直感染)、性交渉などがある。
種類
感染するウイルスにより、次のように分類される。
- A型肝炎 (A型肝炎ウイルス、HAV)
- B型肝炎 (B型肝炎ウイルス、HBV)
- C型肝炎 (C型肝炎ウイルス、HCV)
- D型肝炎 (D型肝炎ウイルス、HDV)
- E型肝炎 (E型肝炎ウイルス、HEV)
- (F型肝炎)
- G型肝炎 (G型肝炎ウイルス、HGV)
- TT型肝炎、TTV型肝炎 (TT型肝炎ウイルス、TTV)
病態
概要
どの型の肝炎でも症状はあまり変わらない。よく見られる症状は次のようなものである。
- 全身倦怠感 (だるい、疲れる)
- 右脇腹痛
- 悪心 (吐き気、嘔吐)
- 食欲不振
- 微熱
- 腹部膨満感
- 黄疸、蜘蛛状血管 (肝硬変に伴う)
初期には微熱、倦怠感、頭痛など、風邪のような症状が現われる。
感染するウイルスによって症状は代わるが、ウイルスによっては急性肝炎、時に劇症肝炎となる。慢性肝炎となる場合は、軽い症状が続き、自覚症状が無いこともある。
日本ではA型、B型、C型が主で、この中ではA型肝炎が最も症状が重くなる。B型はA型と比べると軽く、C型は慢性化しやすい。
C型のように症状は軽くとも、ウイルス性肝炎は進行性の疾病であり、放置し治療をしなければ肝細胞の破壊は続き、やがて肝硬変や肝臓がんへと進行することになる。早期発見、早期治療が重要である。
型ごとの特徴
- A型肝炎
- 経口感染。急性肝炎、時に劇症肝炎を招く。慢性化はしない。予後は良好。
- B型肝炎
- 血液感染。母子感染、性交渉感染。時に急性肝炎、劇症肝炎を招くが、慢性化することも多い。
- C型肝炎
- 血液感染。慢性化する。無症状のまま肝硬変、肝臓がんへ移行することも。
- D型肝炎
- 血液感染。B型肝炎と共存しないと増殖できない。B型と感染すると重篤化しやすい。
- E型肝炎
- 経口感染。時に劇症化する。慢性化はしない。
- G型肝炎
- 血液感染することは知られるが、詳細は明らかでない。
- TT型肝炎
- 血液感染、経口感染。詳細は明らかでない。
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