イトカワ
読み:いとかわ
外語:Itokawa
太陽系
の天体の一つで、
小惑星
の一つ。日本のロケット博士
糸川英夫
から命名された。
目次
天体の情報
基本情報
衛星
天体の特徴
軌道
構成成分
天体名
天体の歴史
天体の発見
探査機
イトカワの地名
はやぶさ着陸地点
天体の情報
基本情報
規模
直径
: 長軸540m、短軸210m
偏率: (不明)
体積
: (不明)
質量
: (不明)
密度
: (不明)
赤道重力: (不明)
脱出速度
: (不明)
移動速度等
自転周期
: 約12時間
赤道傾斜角: (不明)
公転周期
: 約1年半
平均軌道速度: (不明)
会合周期
: (不明)
公転軌道
半径
:
近日点距離: (不明)
長半径: (不明)
離心率
: (不明)
軌道傾斜角: (不明)
位置
近日点黄経
: (不明)
昇交点黄経
: (不明)
符号
識別符号: 1998 SF
36
小惑星番号: 25143
衛星
なし。
天体の特徴
軌道
地球
と
火星
の間の
楕円
軌道を約1年半で
公転
する小惑星である。
構成成分
小惑星探査機「
はやぶさ
」で観測を実施し、さらに表面物質を
地球
へと持ち帰った。
地球からの観測では岩石質と推定されていた。はやぶさが持ち帰った微粒子の大部分は
橄欖石
であり、その他に輝石、斜長石などがあった。地球の
岩石
と比較するとマグネシウムと鉄の含有比率が大きく違っており、特に鉄の比率は5倍以上多いことが判明した。これらの特徴は、はやぶさが観測したイトカワの赤外線などの分析結果とほぼ一致した。
大型放射光施設SPring-8を使った解析も進められ、2011(平成23)年3月11日に発表された初期分析の中間結果によれば、公開された微粒子の写真には橄欖石、斜長石、硫化鉄が写っていた。
また、有機物の証拠は同定されていない。生物はいないと見込まれている。
天体名
イトカワは、日本のロケット博士でありロケット開発の父である、故
糸川英夫
(いとかわひでお)博士にちなむ。
小惑星探査機
はやぶさ
(MUSES-C)の観測対象となるが、当時はまだ名前が付けられていなかった。
小惑星の命名権は発見者にあるので、日本の宇宙科学研究所(
ISAS
)がLINEARチームに命名の要望を出し、命名が実現した。
天体の歴史
天体の発見
1998(平成10)年9月26日にマサチューセッツ工科大学(MIT)リンカーン研究所の地球軌道接近型小惑星(NEA)研究チームLINEARにより発見された。
薩摩芋
のような形状をしている。
探査機
この小惑星は、日本の小惑星探査機
はやぶさ
(MUSES-C)により観測されている。
2005(平成17)年11月4日に第一回の着陸を行ない、一般公募88万人分の署名を内部に収めた金属球「ターゲットマーカ」と小型探査ロボット「ミネルバ」が投下された。この時舞い上がった岩石の破片は「はやぶさ」により回収されたと見込まれている。採取された砂粒の入ったカプセルは2010(平成22)年6月13日、地球へと帰還した。
またミネルバはカメラが搭載されており、5日には宇宙観測史上初となる小惑星表面からの画像が地球に送られた。
イトカワの地名
「へ」の字に曲がったこの天体の地形に計17の名称が付けられている。
最初にIAUに承認されたのは次の3名称である。
ミューゼス シー (MUSES-C Regio) はやぶさのミッション名MUSES-Cから。ミューゼスの海とも掛けている
サガミハラ (Sagamihara Regio) 神奈川県相模原市。JAXA相模原キャンパスの地名から
ウチノウラ (Uchinoura Regio) JAXA内之浦宇宙空間観測所がある鹿児島県の旧町名から
次いで、2009(平成21)年2月19日(日本時間)に14の名称がIAUで追加承認された。最初の10名称がクレーター、次の4名称が地域名称である。
カタリナ (Catalina) アメリカのアリゾナにある天文台と、惑星協会(Planetary Society)の所在地
フチノベ (Fuchinobe) 神奈川県相模原市の地名「淵野辺」。JAXA相模原キャンパスの最寄り駅
ガンド (Gando) カナリア諸島にあるスペインのロケット射場の名
ハマグイラ (Hammaguira) サハラ砂漠(アルジェリア)にあったフランスのロケット射場の名
カミスナガワ (Kamisunagawa) 北海道空知郡上砂川町。微小重力のテスト装置がある町
カモイ (Kamoi) 神奈川県横浜市の地名「鴨居」。「はやぶさ」製造の拠点、NEC東芝スペースシステム株式会社の事業所があった
コマバ (Komab) 東京都目黒区の地名「駒場」。旧文部省宇宙科学研究所があった
ローレル (Laurel) 米国メリーランド州の市名。ジョン・ホプキンス大学応用物理研究所(APL/JHU)がある
ミヤバル (Miyabaru) 鹿児島県肝属郡肝付町の地名「宮原」。JAXA内之浦宇宙空間観測所のレーダーサイトがある
サンマルコ (San Marco) ケニヤ沖合のインド洋上の石油採掘プラットフォーム。イタリアのロケット打ち上げの洋上基地
アルコーナ (Arcoona Regio) 「はやぶさ」のカプセルが回収されるオーストラリアの砂漠近くの地名
リニア (LINEAR Regio) 小惑星イトカワを発見した研究プロジェクト
オオスミ (Ohsumi Regio) 鹿児島県の半島名「大隅半島」。JAXA内之浦宇宙空間観測所がある
ヨシノブ (Yoshinobu Regio) 鹿児島県熊毛郡南種子町の地名「吉信」。JAXA種子島宇宙センターのロケット発射場がある
なお、当時「ウーメラ砂漠」と呼ばれた地名は、IAU承認名では「アルコーナ」となった。当初はやぶさ二回目の着陸予定地で、豪州のウーメラ特別制限区域(WPA)にちなみ、はやぶさ地球帰還時の帰還域でもある。詳細な観測により予想以上に岩石が多くゴツゴツしているためタッチダウンに不適と判断され、目標をミューゼス・シーに変更した。
ミューゼス・シーはミューゼス海(Muses Sea)と掛けているが、実際には「はやぶさ」の衛星計画名であるMUSES-Cを意味している。この名は
ギリシャ神話
の知の女神Museにちなむ。滑らかな領域である。
はやぶさ着陸地点
一回目と二回目の着陸地点は非常に近接しており、ほぼ一箇所と見なされることから、合わせて一つの名前が付けられることになった。
名称は公募により、合計2,146件中、重複を除いた1,985件から検討した結果、応募最多であること、妥当な名称であることなどから、着陸地点は「はやぶさポイント」と命名された。
この名称については正式な名前として国際天文学連合(IAU)に申請されるものでは無いが、今後は、着陸地点についてはこの名で呼ばれることになる。
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