アルヴェーン臨界面
読み:あるべーんりんかいめん
太陽における大気(太陽コロナ)と、そこから吹き出す太陽風の境界面。
概要
太陽は水素やヘリウムなどからなるガス球である。その表面温度は約6000℃とされている。
その表面には超高温の大気とも言える太陽コロナがあり、太陽表面から、太陽半径の数倍離れた場所にまで存在する。コロナの温度は100万度以上にもなるとされる。
表面から遠く離れた場所までコロナは広がるが、重力や磁力によって太陽に引き寄せられて太陽の表面を覆っている。しかし熱と圧力により中心から離れようとする力も働く。こうして太陽から遠のくうちに太陽の束縛から逃れ、コロナが太陽風へと変化する地点が生ずる。この点を「アルヴェーン臨界面」と呼ぶ。
特徴
アルヴェーン臨界面は太陽の大気が終わる場所であり太陽風は始まる場所となる境目だが、この臨界面がどこにあるのかは長くはっきりしていなかった。
太陽の表面から10RSUN(約690荳km)〜20RSUN(約1390荳km)の範囲と推定されていたが、2021(令和3)年にアメリカNASAの宇宙探査機PARKER SOLAR PROBE(パーカー・ソーラー・プローブ)が史上初めて太陽のアルヴェーン臨界面を通過し、太陽コロナに到達し観測を実現した。
PARKER SOLAR PROBEの観測で、8回目の太陽周回中に太陽表面から約1300荳km地点でアルヴェーン臨界面に遭遇、そしてアルヴェーン臨界面を超えてコロナに突入したことも確認された。このフライバイにおいて何度かコロナに入ったり出たりを繰り返すが、これによってアルヴェーン臨界面は球状ではなく(干し梅のような)凸凹な構造であることも分かったとしている。
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