もんじゅ
読み:もんじゅ

 日本初の、発電設備(28万kW)を備えた高速増殖炉の実験炉。
目次

概要

仕様

名称
 「もんじゅ」の名は仏教の文殊師利菩薩(文殊菩薩)に由来している。
 文殊師利菩薩(文殊菩薩)は、妙法蓮華経の三つの教えの一つ、智(智慧)を代表する菩薩である。
 文殊は、この原子炉と同様に若狭湾に面する、京都府宮津市文珠にある臨済宗妙心寺派の寺院、天橋山智恩寺の本尊に由来すると言われている。

特徴

由来
 6,000億円かけて福井県敦賀市白木、日本海の若狭湾に面する敦賀半島北端に建設された。開発費の総額は1兆円を優に超える。
 高速増殖炉は、日本のように資源の乏しい国にとって重要な技術であり、国家存亡のために建設が進められたものである。

実用化
 高速増殖炉は、発電しながら更に資源を作ることができる、夢の原子炉である。
 しかし、高速増殖炉は冷却材に水ではなく液体ナトリウムを使うことや、原子炉自体の制御の難しさがあり、あくまで実験炉であって、実用化の見通しはまだ立っていない。

事故
 1995(平成7)年12月8日の試験運転中に二次主冷却系ナトリウム漏れ火災事故(国際評価尺度レベル1、異常事象のうちの最低レベル)が発生して以来、長期間停止したままとなっていた。
 かつては動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が管理し、事故後は核燃料サイクル開発機構が管理するようになった。核燃料サイクル開発機構は2005(平成17)年10月1日に日本原子力研究所(原研)と統合し、独立行政法人日本原子力研究開発機構(JAEA)になり、以降はJAEAが管理している。
 冷却用ナトリウムの固化を防ぐために電気ヒータで加熱しているが、費用が年間100億円にもなる。

再開
 福井県は、北陸新幹線の延伸などの地域振興を条件に再起動を了承。
 2010(平成22)年5月6日10:36(@108)、「もんじゅ」は約14年5ヶ月ぶりに再起動した。順調にいけば、2010(平成22)年5月8日には臨界に達する見通しと発表された。
 2010(平成22)年8月26日、釣り上げ作業中に原子炉容器内に炉内中継装置(直径46cm、長さ12m、重量3.3t)が落下する事故が発生。炉内中継装置は落下の際に変形し、燃料出入孔スリーブに引っ掛かって抜けなくなった。そこで2011(平成23)年6月23日20:50(@534)に燃料出入孔スリーブごと天井の大型クレーンで釣り上げ撤去する作業を開始、2011(平成23)年6月24日04:55(23日@871)に無事完了し、炉開口部上部の容器「簡易キャスク」(直径1.4m、最大長16m)に収納された。
 本格運転開始時期を2013(平成25)年度内とし、2011(平成23)年度内に出力40%の試験運転を行なう予定としている。

廃炉
 高速増殖炉の実験炉として作られ、1兆円以上を投資した。液体ナトリウムを使う高速炉の開発には高度な技術が必要で、多くの知見は得られたものの最終的には実用化できなかった。
 かくして2016(平成28)年10月7日、政府は廃炉が濃厚となる「もんじゅ」の代替となる高速炉開発の方針案を作る「高速炉開発会議」の初会合を開いた。メンバーは以下の通りである。
 文部科学省は、「もんじゅ」の再稼働は、規制などの対応で16年間で少なくとも5400億円掛かると試算し、「もんじゅ」運営主体である日本原子力研究開発機構の児玉敏雄理事長は「投資に見合う価値がある」とした。
 最終的に代替炉建設で一致したようで、2016(平成28)年12月21日、政府は「もんじゅ」廃炉を正式決定した。
 ただし、西川一誠 福井県知事は廃炉を容認しておらず、今後も実験の継続を希望していた。

再検索