いて座A
読み:いてざ-エイ
外語:Sgr A
銀河中心
に存在する電波源の複合体。
天球
においては
いて座
の方向に見えることから、この名がある。
目次
構造
特徴
構造
いて座Aイースト
いて座Aウエスト
いて座A*
周辺天体
S2
G2
GCIRS 13E
領域内天体
EG97
構造
銀河中心は、実際には複数の天体の集合体であり、その総称が「いて座A」である。
この銀河中心には三つの名前が付けられており、次のように呼ばれている。
いて座Aイースト (
超新星残骸
)
いて座Aウエスト (
降着円盤
、渦巻き構造)
いて座A
*
(電波源)
この他、複数の恒星やガス雲の存在が知られる。
特徴
構造
いて座Aイースト
銀河中心を取り巻くように存在する
超新星残骸
である。
およそ25光年の幅を持ち、3〜10万年程度前に爆発したものと推測されている。
但し、この規模の構造を作るためには標準的な
超新星爆発
にして50〜100回分程度のエネルギーが必要であるとの説もあり、由来は明らかになっていない。ある説では、中心の
ブラックホール
の
重力
で圧縮された近傍の恒星が爆発したもの、とする。
いて座Aウエスト
中心にある
ブラックホール
の
降着円盤
が正体であると考えられている。半径は1光年以上あると見込まれ、1,000km/s(864.0km/cBeat)以上の速度で回転している。
この周辺にはさらに円形状に回転する分子リングがあり、3本の腕(ガス雲)がブラックホールへと伸びている。これを「ミニスパイラル」と呼ぶ。但し名前に反し、このミニスパイラルの3次元構造はらせん構造ではない。
このミニスパイラルガス雲の表面はイオン化されているが、これはこの周辺に多数ある大質量星(OB型星など)が放射する紫外線の影響である。
いて座A
*
いて座A
*
は電波源である。
銀河系の中心部のなかで、さらに中心となる、
ブラックホール
であると考えられている。
いて座A
*
には、近傍に恒星「
S2
」と、公転するガス雲「G2」が存在する。
周辺天体
S2
S2
は、いて座A
*
の近傍に多数ある
恒星
のうちの一つ。
いて座A
*
すなわち超大質量ブラックホールの周回軌道を取っていると見られており、観測結果から、いて座A
*
より17光時(約123au)の距離を公転しているとされる。
直接観測できないブラックホールの代わりにこの天体が観測され、銀河中心がブラックホールであることの証拠となっている。
G2
G2は、いて座A
*
を公転するガス雲。
離心率が非常に大きく、極端な楕円軌道を取っており、近点距離と遠点距離の差が激しい。
このためG2はブラックホールへの接近と離脱を繰り返しているが、これを著している時点で最も最近の接近は地球時間の2013(平成25)年7月1日とされている。このとき太陽の50倍程度に輝いたとされているが、可視光での観測は不可能である。
GCIRS 13E
GCIRS 13E
は、銀河系中心にある赤外線源の13番目の東側(E)を意味している。東側としているのは、すぐそばにGCIRS 13Wとする恒星が存在しており、区別のためである。
GCIRS 13Eはいて座A
*
を公転している星団で、少なくとも7つの大質量星が存在する。いて座A
*
からの距離は約3光年で、公転周期は約4万年。
元々は60光年程度離れたところで誕生し、この頃は更に多くのO型星や
ウォルフ・ライエ星
などの大質量星を含んでいたと見られるが、徐々に数を減らしながら、少なくとも10万年以内のうちにいて座A
*
の重力で現在の距離まで移動したとみられている。
この星団の中心には、太陽質量の1300倍の
中間質量ブラックホール
が存在するという仮説が存在するが、星団の動きなどからこれを否定する説もあり、決着は付いていない。
領域内天体
フランスの太陽系外天体目録SIMBADに記載のある天体は、次の通りである。
天体は無数に存在するようだが、ここでは代表的な天体リストから引用する。
EG97
SIMBADの
EG97
として記載があるもの。SIMBADに情報がない天体は略す。
S1(EG97) 別名 E4(PGM2006)、S0-1(GKM98)
S2(EG97)
別名 E1(PGM2006)、S0-2(GKM98)
S3(EG97)
S4(EG97) 別名 E6(PGM2006)、S0-3(GKM98)
S5(EG97) 別名 E8(PGM2006)、S0-26(GKM98)
S6(EG97) 別名 E11(PGM2006)、S0-7(GKM98)
S7(EG97) 別名 E12(PGM2006)、S0-11(GKM98)
S8(EG97) 別名 E10(PGM2006)、S0-4(GKM98)
S9(EG97) 別名 E9(PGM2006)、S0-5(GKM98)
S10(EG97) 別名 S0-6(GKM98)
S11(EG97) 別名 S0-9(GKM98)
S12(EG97) 別名 E5(PGM2006)、S0-19(GKM98)
S13(EG97) 別名 E3(PGM2006)、S0-20(GKM98)
S14(EG97) 別名 E2(PGM2006)、S0-16(GKM98)
S18(EG97) 別名 S0-18(GKM98)
S19(EG97) 別名 S0-28(GKM98)
S26(EG97)
S27(EG97) 別名 S0-27(GKM98)
S31(EG97) 別名 E7(PGM2006)、S0-8(GKM98)
S35(EG97) 別名 S0-13(GKM98)
S50(EG97)
S66(EG97) 別名 E17(PGM2006)、S1-2(GKM98)
S67(EG97) 別名 E15(PGM2006)、S1-3(GKM98)
S83(EG97) 別名 E16(PGM2006)、S0-15(GKM98)
S87(EG97) 別名 E21(PGM2006)、S1-12(GKM98)
S95(EG97) 別名 E19(PGM2006)、S1-9(GKM98)、GCIRS 16NW
S96(EG97) 別名 E20(PGM2006)、S1-11(GKM98)、GCIRS 16C
S97(EG97) 別名 E23(PGM2006)、S1-16(GKM98)、GCIRS 16SW
S111(EG97)
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