γ線バースト
読み:ガンマせんバースト
外語:GRB: Gamma-Ray Burst

 宇宙のある一点から、突然大量のγ線が爆発的に放出される現象。数秒から数時間続き、その後静かになる。
目次

概要
 非常に強力な爆発現象であると考えられているが、その正体は謎が多い。
 γ線バースト一つのエネルギーは銀河系の全恒星が1年間に出すエネルギーより大きく、それが僅か数秒から数時間で放出される。こうして爆発した天体は、ブラックホールになると考えられている。このような爆発は、宇宙全体で毎日1回程度起こっていると見込まれている。
 観測と研究により、γ線バーストには少なくとも二種類、「硬γ線バースト」と「軟γ線リピーター」が存在することが分かっている。

特徴

発見
 冷戦時代の1967(昭和42)年、アメリカが他国の核実験によるγ線を捉えるため、幾つかの衛星にγ線検出器を搭載した。
 この検出器は見事にγ線を検出したが、しかしそれは地上からではなく、空のあらぬ方向からであった。
 これにより、天体現象としてγ線の爆発が存在することが発見された。

原因
 爆発の原因や、その正体について現時点で最も有力な説は、大質量の天体が重力崩壊を起こしてブラックホールとなる際に高エネルギーの宇宙ジェットが放出され、その宇宙ジェットによって作られる衝撃波がγ線バーストである、とするものである。
 この時、天体現象としては超新星爆発や極超新星爆発が起きている可能性が指摘されている。
 高光度青色変光星(LBV)時代に安定して爆発を起こさず、ウォルフ・ライエ星にならなかった天体だけがγ線バーストを起こすとする説もあり、そうだとすると星の外層部に重元素が少ないほど星は安定するので、γ線バーストが遠い初期宇宙に多い理由の説明にもなるとされる。

γ線バーストの名前
 γ線バーストは、「GRB」に続けて年月日の6桁の数値をつけて命名される。
 例えば、2005(平成17)年9月4日に発生した場合、「GRB 050904」と命名される。
 同じ日に複数個発見された場合は、末尾にA、B、C…などと付けて区別する。

GRB 110328A
 通常、γ線バーストの光は数時間で観測不可能なほどに暗くなる。ところが、2011(平成23)年3月28日に38億光年離れたりゅう座銀河で発見されたγ線バーストGRB 110328Aは、2011(平成23)年4月4日にハッブル宇宙望遠鏡でも観測され、1週間以上活動を継続していることが明らかとなった。
 このような長い活動は天文学での想定を大幅に超えている。NASAは、バーストが銀河の中心で発生しているため、大質量ブラックホールの回転軸方向に生成される超高温のプラズマジェットが関係しているのではないかと推定している。
 曰く、恒星がブラックホールに接近しすぎてバーストが発生し、潮汐力によって恒星は引き裂かれてブラックホールに落下中なのではないかとする。この時、噴流はブラックホールの回転軸に沿って外側へ向かうが、この噴流が地球の方角を向いたとき、X線とγ線の大規模な噴出つまりγ線バーストとして観測されるのではないかとしている。

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