1型糖尿病
読み:いちがた-とうにょうびょう

 糖尿病の一つで、生活習慣病や遺伝などとは無関係に、主として自己免疫疾患によって発症すると考えられている病気
目次

疾病について
 全糖尿病患者の5〜10%程度を占めるとされる。

病因
 いわゆる生活習慣病や先天性疾患等ではなく、自己免疫システムの狂いが原因で発症する。
 血糖値を下げるホルモンのインシュリンは、膵臓のランゲルハンス島(膵島)のβ細胞により作られ分泌されるが、何らかの理由で自己免疫が働き、このβ細胞が破壊されると、ホルモンの分泌が枯渇ないし激減してしまう。
 通常、免疫というのは外部から侵入したウイルスに反応し、自分自身の細胞は攻撃しないが、ごく一部の人では自己細胞攻撃を起こしてしまうのである。
 昔は、小児によく発症すると考えられたことから「小児糖尿病」とも呼ばれていたが、現在ではあらゆる年齢層で発症すると考えられている。

病態
 血糖の制御ができなくなる。

治療
 主に注射などでインシュリンを外部補給する。
 しかし症状が重篤で、日常生活もままならない場合には移植手術が必要である。

インスリンポンプ
 最近では、インスリンポンプと呼ばれる自動注入器が発明された。
 膵臓のインシュリン分泌は、常時行なわれる「基礎分泌」と、食事等で血糖値が高まった時の「追加分泌」があるが、インスリンポンプはこの両方に半自動で対応する。
 カテーテルにより、基礎分泌に相当するインシュリン注入は24時間随時行なわれる。食事前にスイッチを押すと追加分泌に相当するインシュリン注入ができる。膵臓の自然な分泌に近く、安全性が高いと考えられている。
 カテーテルは1〜3日に一回交換するが、注射と違い痛みがなく手間も少ないのが利点である。但しカテーテルはテープで止める必要があり、皮膚が弱い人はこれでかぶれることもある。
 日本では保険が利くが、月ごとの費用は注射よりはやや割高である。また機器自体も価格が数十万円とかなり高額である。

膵島移植
 劇症型で、血糖制御が難しく日常生活もままならない患者は、従来なら膵臓移植が必要だった。現在はそれに代わり、膵島移植という新しい治療方法が発明されている。
 これは膵臓のドナー(身内または心停止者)より特殊技術で膵島を分離し、レントゲン監視の元、肝臓門脈へ点滴することで患者体内に注入する、手術不要の移植である。
 京都大学移植外科の実績によると、二回の移植を受けた患者の半数以上が、インシュリン注射不要なまでに回復したとされている。
 但し現在のところ、この移植には条件があり、また保険適用外のため予算も2000万円程度必要となる。移植回数が多く必要となる場合は、さらに値段は高くなる。
 また、この治療法でも通常の移植と同様に拒絶反応を防ぐため、免疫抑制剤が生涯必要になる。

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