超弦理論
読み:ちょうげんりろん
外語:super string theory
物質
の究極の要素は、粒子ではなく弦(ひも)である、とする理論。「超ひも理論」とも。
目次
概要
特徴
理論
3次元と9次元
10の500乗個の宇宙
理論上の問題点
概要
この理論でいう「超弦」「超ひも」とは、「凄い弦」ではなく、「超対称性を持った弦」を意味する。
それまで、物質の基本単位は粒子(0次元)と考えられてきたが、そうではなく、1次元の広がりを持った弦(あるいはひも)であるとする理論に、さらに弦が超対称性を持つという概念を導入した理論である。
弦の大きさは10
−35
[m]程度であるとされている。これは
プランク長
と概ね同程度である。
これは
原子
の大きさである10
−10
[m]と比較しても桁違いに小さく、
太陽系
と
陽子
ほどのスケールの違いが存在し、その実証自体が恐らく不可能と考えられていることから、
物理学
の理論としても必ずしも確固たる地位を占めているわけではない。
現時点では、まだまだ未完成で不完全な、試論(仮定)に過ぎないものである。
特徴
理論
この理論を成立させるためには、9次元空間+時間で、
10次元
時空が必要である。また、この理論を包含するM理論は更に1次元を加えて11次元時空を要求している。
理論がこのような多次元を要求するのは、
タキオン
が存在しないようにするためである。タキオンは虚の質量を持ち、常に
光速
よりも速く移動する粒子だが、現実にこのような粒子はこの世に存在しない。この粒子を否定するためには、必然的に10次元以上が必要となったのである。
理論において「超弦」は、この世界で、振動したり、閉じたり開いたりしている。こうして多様な素粒子の世界は、たった一本の基本的な「弦」の異なる挙動として説明することができる。
振動は無限に存在するので、対応する素粒子も無限である。このうち、最も低い振動に対応するのが
クォーク
や
レプトン
といった
素粒子
、ならびに
重力子
や
光子
などの媒介粒子であるとされている。これはさらに、振動如何では未知の素粒子が存在しうることをも示している。
3次元と9次元
超弦理論では9次元空間でなければ
量子力学
との矛盾が生じるが、現在の宇宙空間は
3次元
である。
高エネルギー加速器研究機構(KEK)と静岡大学、大阪大学による研究チームによると、超弦理論に基づいて宇宙誕生の様子をシミュレーションした結果、宇宙は当初は9次元の空間的広がりを持つが、やがて3次元だけが膨張し始めるとした。3次元以外の6次元空間は、コンパクト化された非常に小さい状態のままで存在し、人間はそれを感じることすらできないとする。
10の500乗個の宇宙
研究が進むにつれ、超弦理論は、宇宙が10の500乗個も存在しうることを示すとの研究が発表され、世界を震撼させた。
この宇宙と同じような宇宙が、ほかに10の500乗個も存在するというのである。
理論上の問題点
この理論は、様々な宇宙の現象への回答として貢献があり、正しいのではないかと思われてはいるが、もちろん、この理論は間違っていて有害だと主張する学者もいる。
実際に、この理論には様々な解決の難しい問題点がある。
10次元時空という、未だ観測されていない多次元を要求している
さらに、観測されていない数多くの素粒子の存在をも予言している
しかも肝心の弦は、どうやっても観測できそうにない
現在、この理論を証明するべく様々な研究が進められており、やがてこの理論が
大統一理論
などへと結びついて行くものとして期待されている。
再検索