タキオン
読み:タキオン
外語:tachyon

 光速より速い運動しかできないとする仮想の粒子。
目次

概要
 迅速(rapid)を意味するギリシャ語のταχυ'σ(takhu's)を語源とする。
 特殊相対性理論によれば、光速度以下の粒子(ブラディオン)をいくら加速しても光速度以上にすることはできない。特殊相対性理論により、光速に近づくにつれて加速に必要な運動エネルギー無限大に増えるという事実があるためである。
 しかし、誕生の瞬間から常に光速度以上の運動をする粒子が存在したと仮定する。そのような物質の存在は特殊相対性理論でも否定していないため、その架空の粒子は仮にタキオンと名づけられた。
 特殊相対性理論は確かにタキオンの存在を否定しないが、場の理論やその後の超弦理論はタキオンに否定的でありタキオンが存在しないように10次元の時空の存在を要求している。11次元を要求するM理論も同様である。

特徴

物理的特徴
 通常の粒子では、力を与えれば与える程その1/2乗に比例して高速になる。対してタキオンでは、力を与えれば与える程その1/2乗に比例して低速になる。
 また、光速を超えているタキオンは時間軸を逆行して運動すると考えられ、今度は光速の壁のために光速以下に減速できない。
 ちなみに、通常物質、つまり光速以遅の運動をする物質はブラディオンと呼ばれる。
 いずれにせよ、少なくとも現在の科学では光速度以上の粒子を観測する手段がないと考えられるため、タキオンの存在を実証することは困難である。

SF
 タキオンを使用すれば光でも何万光年もかかる距離を現実的な時間で行き来することが可能なため、SFもので超高速(光速?)通信として登場する。
 理論的に考えれば、タキオンによる通信では送信時よりも到着時が早い(例えば12:00に送った電信が11:59分に着く等)はずであるが、SFの世界ではそのような面倒なことは無視し、とりあえず高速な通信が可能な媒体として使われている。

和名について
 タキオンには、現時点では和名はない。中文では快子、台湾では迅子とも言うらしい。
 さて、タキオンに公式な和名はないが、しかしそれでも、「ひかり」より速いものとして日本人なら誰もが納得し認め異論を唱えない語が僅か一つだけ存在する。
 それは、のぞみである。
 「のぞみ」は現在、確実に「ひかり」より高速であることが観測によって確認されている。

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