量子力学
読み:りょうしりきがく
外語:quantum mechanics

 素粒子、ならびに原子分子などを扱う力学。ニュートンの運動方程式を基盤とする古典力学と対比して、量子論を組み込んだ力学のことをいう。自然科学の一つ。
目次

概要
 古典力学とも言われるニュートン力学は、重力が支配するマクロな世界では破綻する。その世界では相対性理論が使えるが、相対性理論は電子やクォークといったミクロな舞台では破綻する。そこを記述するのが量子力学である。
 基本的には観測によって得られた値から確率的な解釈を行なう事で、粒子のもつ波動と粒子の二重性を論ずる物理学である。基本的仮定からシュレーディンガー方程式が導入される。
 演算子形式のシュレーディンガー描像を採用することが多い。

特徴

観測のエネルギー
 量子力学およびその基礎となった量子論においては、観測は、系に対する外来エネルギーとなる。
 量子力学の解釈の一つであり代表的なコペンハーゲン解釈においては、量子の世界は「観測するまで物事の状態は決定されない」「観測するまでは波動関数に従い空間的広がりを持つ」「観測時点では一点に収束する」「収束の確率は確率解釈に依存する」といった特徴を有している。
 簡潔に言えば、観測する前の量子はエネルギー状態である波動として存在しており、これが観測されることによって素粒子という物質に変わり、これが観測される。
 別の表現をすれば量子レベルの物質は、実際に観測することによって観測されたものが物質化し現われる。観測されない限りは、「そこにあるかもしれないし、ないかもしれない」ということになる。
 もっと雑な表現をすれば、観測しないかぎり存在すらしないかもしれない、と言うことになる。

波動関数の収縮問題
 物質の最小単位は原子であるが、量子力学では更に細かく分割することができ、最小単位は素粒子である。最小単位である素粒子はそれぞれ特有の機能を持っていて、その組み合わせによって原子などの種類が決まる。ただしこの素粒子とは、量子を客観的に認識できる状態で表現したものに過ぎない。
 上述のように、量子力学において量子は「素粒子」(物質)として認識される前は「波動」(エネルギー状態)として存在している。つまり量子は物質ではなく波動性を持ったエネルギー状態として存在しているが、外部から観測のエネルギーを受けた瞬間に一点に収縮した粒子、つまり素粒子となって出現する。この現象を、波動関数の収縮(=デコヒーレンス)、または観測者効果と呼ぶ。

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