肝臓
読み:かんぞう
外語:liver
生物
の化学工場とも呼ばれる臓器の一つで、
循環系
の
実質臓器
。
目次
概要
特徴
位置
構造
血流
沈黙の臓器
化学処理
疾病、疾患
概要
肝臓は体内で最大の
実質臓器
であり、重さは1.0kg〜2.3kgで、
体重
の約2%を占める。
肝臓は、蛋白・脂肪・糖・ビタミンなどの代謝、不要または有毒な物質の解毒、胆汁を生成し腸に分泌することで消化吸収を助けるなど、複雑な機能を数多く有しており、その機能を人工的に置き換える(
人工肝臓
)は現代の科学では不可能と考えられている。
特徴
位置
腹部の上側(上腹部)の、正面からみて右側に存在する。
胃
と
心臓
の中間程度の位置で、胃を覆うような位置になる。また肝臓の下部には
胆嚢
が張りつく。
肝臓から伸びる
胆管
は
十二指腸
に繋がっており、また肝臓のすぐ近隣には
膵臓
がある。
構造
肝臓はおよそ2500億の
肝細胞
からなる。
豆腐
のように軟らかく、内部には
血管
が張り巡らされ、体中の
血液
の1/5は肝臓にあるとされる。
肝臓は大きく右葉と左葉にわかれ、右葉の方が大きい。右葉は肝臓全体の60〜70%程度、左葉は肝臓全体の30〜40%程度である。
ここに、
門脈
と肝動脈(
大動脈
からの枝の一つ)が入り血液を流し込み、この血液は肝臓で処理された後、
下大静脈
で心臓へと戻る。
肝臓からのもう一つの出力として
胆管
が伸びる。胆管は途中に
胆嚢
がぶら下がる管で、これは
十二指腸
に開口し、肝臓で作られた
胆汁
を腸へと流し込む。
血流
心臓から出る
大動脈
から分かれる肝動脈(
酸素
が多い)と、消化管を通った血流を集めた
門脈
(酸素は少ないが栄養が多い)が繋がっており、肝臓で化学処理された血液は、肝静脈から
下大静脈
に繋がり、心臓の
右心房
へと戻る。
肝臓に流れ込む血液量全体の約80%は
静脈血
で、残る20%は
動脈血
である。
更に、流入する静脈血の大半は
門脈
からの血液である。
沈黙の臓器
生まれておよそ一週間目頃に、誰もが経験する
黄疸
。これが肝臓の最初の自己主張であり、それ以降は自己主張をすることなく黙々と働き続ける。このため肝臓は「
沈黙の臓器
」と言われ痛みや症状が殆どでない。また再生能力も旺盛である。
その上肝臓は9割が悪くても1割が正常に機能していれば、
GOT
や
GPT
といった数値も上がってこない。また肝疾患もかなり悪化しないと疼痛などは出ず、少しばかりでは痛くならない。
つまり一度沈黙を始め、そして再び肝臓が叫びを上げる時、それは人体が大きな危機に直面したときに限られるということである。
化学処理
主に、次のような働きを行なう。
栄養素の
代謝
炭水化物
蛋白質
脂肪
解毒作用
アンモニア
細菌
や毒素
アルコール
胆汁
の生成
ホルモンの不活化
カロテンから
ビタミンA
の合成
疾病、疾患
肝臓には先天性の畸形、後天性の疾患含め、様々な
病気
が知られる。
先天的なものは概ね慢性で、慢性肝疾患と呼ばれる。ある日突然に罹患するような肝疾患は急性肝疾患と呼ばれる。
また肝臓はその構造的特徴から、
肝細胞
そのものだけでなく、胆道、胆嚢、門脈などの問題も肝臓病にカテゴライズできる。
肝炎
ウイルス性肝炎
A型肝炎
B型肝炎
C型肝炎
D型肝炎
E型肝炎
G型肝炎
TT型肝炎
アルコール性肝炎
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)
自己免疫性
薬剤性
(
劇症肝炎
)
脂肪肝
肝硬変
胆汁性肝硬変
原発性胆汁性肝硬変(PBC)
アルコール性肝硬変
肝静脈閉塞・血栓
肝静脈閉塞症
肝内性肝静脈閉塞症(VOD)
肝静脈血栓症
バッドキアリー症候群(Budd-Chiari症候群)
肝臓肥大
カロリ病
肝線維症
肝悪性腫瘍
肝臓がん
肝細胞がん
類上皮血管内皮腫
胆管炎
原発性硬化性胆管炎(PSC)
胆嚢炎
胆汁鬱滞
肝内胆汁鬱滞
進行性家族性肝内胆汁鬱滞
バイラー病
肝外胆汁鬱滞
胆道閉鎖症
先天性胆道閉鎖症
代謝性疾患(先天性代謝異常)
α1抗トリプシン欠乏症(α1アンチトリプシン欠損症)
アラジール症候群
ウィルソン病
オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症(OTCD)
家族性アミロイドポリニューロパチー(家族性アミロイド多発神経炎、FAP)
高蓚酸血症
シトルリン血症(アルギニノ琥珀酸合成酵素欠損症)
I型
成人発症II型シトルリン血症
III型
ジルベール症候群(旧ギルバート病)
糖原病
尿素回路異常症(尿素サイクル異常症)
ヘモクロマトーシス
ポルフィリン症
Crigler-Najjar症候群(クリグラー・ナジャール症候群)
Crigler-Najjar症候群I型
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