減速材
読み:げんそくざい
外語:moderator

 原子炉で、ウランプルトニウムから放出される中性子線の速度を減速させる物質
目次

概要
 中性子を減速させる必要があるのは、一般的には中性子の運動エネルギーは小さめの方が核分裂を起こしやすいためである。
 核分裂によって生じた中性子は高速中性子と呼ばれ、光速に近い「速い」中性子であり、大きなエネルギーを持っている。一方、燃料であるウラン235は「遅い」熱中性子と反応しやすい。そこで、中性子を手頃な速度に落とすために減速材を使う。
 軽水炉や多くの重水炉では冷却材が減速材を兼ねているが、黒鉛炉の場合は減速材と冷却材は別々のものとなる。また、減速材を使わない炉もある。

特徴

材質
 減速材の物質としては、その原子炉の種類により、次のようなものが使われる。
 日本の商業用原子炉ではおもに軽水炉が使われている。日本では、重水炉は転換炉「ふげん」などがある程度であまり使われておらず、そして稼働中の黒鉛炉は一基も存在しない。

高速増殖炉
 日本の「もんじゅ」に代表される高速増殖炉は、冷却材として液体ナトリウムを使用するが、減速材は使用しない。
 ナトリウムは熱伝導率が高く、燃料の冷却を行なうが、中性子を殆ど減速させない。これは他の原子炉と違い高速増殖炉が高速中性子を核分裂に使用していることによるためで、中性子を減速させてしまっては核分裂が起こらないためである。

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