黒鉛炉
読み:こくえんろ
外語:Carbon Reactor
原子炉のタイプの一つで、減速材による分類の一つ。減速材に黒鉛を使うもの。旧ソ連やイギリスに多い。
概要
黒鉛炉は、軽水炉などよりも、核兵器に使われるプルトニウム239を多く作れるという特徴があり、アメリカなどの核開発でも利用されてきた。
しかし黒鉛は脆いので大型化に向かず、商業発電向けの黒鉛炉はありえない。今、黒鉛炉などを作っていたら、プルトニウム製造用だと思って間違いないであろう。
冷却材は種類により異なり、マグノックス炉は二酸化炭素(CO2)、ガス炉はヘリウム(He)が使われるが、他に軽水などを使うタイプもある。
各国の動向
日本
現在、日本では稼働中の黒鉛炉は一基も存在しない。
本邦では、核兵器一発だけなら軽水炉でも充分、量産するなら黒鉛炉を建設することになると考えられている。
旧ソ連圏
旧ソ連の商用発電は黒鉛炉が主力だったが、1986(昭和61)年4月26日にウクライナ(旧ソ連)のチェルノブイリ原電が爆発事故を起こし、世界的な問題となった。爆発の原因は炉の構造欠陥と不適切な操作が原因であるとされる。
現在のロシアは旧共産圏時代には輸入できなかった西側の原子力技術を導入し、より安全な原電への置き換えを進めているが、資金難でなかなか進んでいないようだ。
北鮮
旧ソ連や支那から技術提携を受けた北朝鮮が、核兵器用のプルトニウムなどを製造するために使っているものも黒鉛炉であるらしい。
もしチェルノブイリ事故の二の舞になれば日本への死の灰の影響は避けられないとあり、その動向が見守られるところである。
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