マイナスイオン |
辞書:科学用語の基礎知識 化学物質用語編 (NSUBY) |
読み:マイナスイオン |
外語:minus ion |
品詞:名詞 |
ペテン師が好んで用いる、健康に良いらしい物質の一つ(疑似科学)。そろそろ流行はおわりつつあるようだ。
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序論 |
化学でマイナスイオンという学術用語は存在しない。
これはメーカー等の用いる俗語であり、実際に健康に良いかどうかの科学的裏づけはない。
学術用語には「大気イオン」(気象学・静電気学)、「イオンクラスター」(化学)などがあるが、マイナスイオンとは異なる。
大気イオンは正・負の両方が大気中に常に存在し、濃度は場所により異なる。これは大気電気学分野の範疇である。
概要 |
発生源 |
例えばトルマリンがマイナスイオンを放出するとされるが、それはあり得ないことである。
効能 |
また、マイナスイオンのリラックス効果が示されているが、現時点では明確な機序の説明はなく、実際に顕著な効果が出ることもない。まして病気が治る等の効果は根拠が無いばかりか、それを示唆するデータも無い。
一方、マイナスイオンドライヤーの「髪の毛さらさら」は大気イオンによる静電気除去効果と考えられるため、静電気が除去されて髪の毛さらさらというのは充分にあり得るだろう。但しマイナスイオンの効果ではない。
滝とマイナスイオン |
また、滝の近くにマイナスイオンがあるらしい。
これは分裂した水滴がレナード効果によって負に帯電したイオンクラスターと考えられ、具体的には水負イオンクラスター(H2O)n−か、水和ヒドロニウムイオンH+(H2O)nなどであると考えられる。
こういったイオンクラスターをマイナスイオンと呼ぶのは正しいとされる。但し、これらのイオンクラスターの空気中の寿命は極めて短い(10−4秒以下)ようである。
他にコロナ放電などでも負の大気イオンは発生するが、これと前者が同じ性質を持つかどうかは疑問が残る点である。さらに大気イオンは寿命が短いので、常に供給せねば濃度は保てない。
マイナスイオン家電 |
昨今はマイナスイオンを出すらしいエアコンや空気清浄機がある。
これらはコロナ放電によって電子を作り、空気中の分子と衝突させて負の大気イオン、具体的にはO2−・(H2O)nや、CO4−・(H2O)nなどを生成しているようだ。
また、「マイナスイオンで除菌」と謳って売られて製品には確かに殺菌力があるが、実際にはオゾン(O3)を作り殺菌している。
オゾンは悪臭元であり、また猛毒である。高濃度であれば当然健康に悪いだろう。但し希薄であればそれほど影響はなく、殺菌能があるのでかえって健康に良い、ともいえる。
実在するのか |
公称マイナスイオンに相当する物質は確かに存在すると思われる。但し、それはイオンではないだろう。
最大の問題は、マイナスイオン信奉者や企業がデマ情報をテレビ等で流し、効果が過剰に宣伝され、詐欺行為となっていることである。その宣伝効果も殺菌からリラックスまで様々あり、何でも「マイナスイオン」と書けば売れると思っているふしがある(そして実際売れている)。
現実には、宣伝されるような効果はあり得ず、実際に薬事法(現在の薬機法)違反で営業停止となった企業もある。
詐欺 |
断言してしまえば、これは論外のインチキである。詐欺、あるいは詐欺紛いの商法である。
2003(平成15)年8月現在マイナスイオン関連商品販売が確認された大手企業に、次のようなものがあった。企業姿勢を判断する材料として頂きたい。
リンク |
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