麻疹
読み:ましん
外語:measles
はしか。
麻疹ウイルス
の
飛沫感染
により罹患する病。伝染力が強く、ワクチン無しでは一生に一度は必ず罹るとされる。
目次
病態
特徴
病因
治療方法
ワクチン
予防と対策
ワクチン空白期
現在の流行状況
海外の例
海外旅行前にワクチン接種
病態
発熱、咳、鼻汁、発疹が主な症状で、38℃前後の熱が数日続いた後、一旦回復しかかってから、再度39℃〜40℃程度の高熱が出る。高熱は一週間程度続く。
麻疹は、発熱3〜4日目あたりから体に赤い発疹が現われ、口の中にも「コプリック斑」と呼ばれる麻疹独特の白い発疹が多数現われる。
罹患すると、年齢にかかわらず重症化しやすく、また命に関わる合併症を引き起こすことが多い、危険な伝染病である。
学校基準(学校保健安全法施行規則 第十九条)においては、解熱した後三日を経過するまで出席停止である。
特徴
病因
麻疹ウイルス
の感染による。
麻疹ウイルスの感染力は非常に強く、同じ空間にいるだけでも感染する。
病原体
の麻疹ウイルスはBSL-2(
バイオセーフティーレベル2
)に分類される。
治療方法
麻疹(はしか)には、治療方法がない
。
ひとたび発病すると、一週間続く40℃前後の高熱や合併症を根性で耐え抜かねばならないが、残念ながら耐えられず命を落とす人も少なくない。
従って、罹らないようにするためワクチンによる予防が第一となる。
なお、流行を抑えるためのワクチン接種率は95%以上が必要とされる。
ワクチン
2005(平成17)年度内までは、生ワクチンの接種は任意だった。
内科または小児科で自費で接種でき、地方自治体によっては一回目が無料のこともあった。1〜6歳までに予防接種すべきだが、標準的には生後12〜24ヶ月頃にする。但し麻疹流行時には10ヶ月から接種できる。現在、厚労省がワクチンの接種を勧める期間は「1歳3ヶ月までに」としている。
一回のみの接種でも数年は大丈夫だが、生涯免疫(一生保てる免疫)まで達しないと言われている。そのため、ワクチンの複数回接種も推奨されている。
日本でも2006(平成18)年4月より本格的な麻疹制圧が開始され、
MRワクチン
を1歳児と5歳〜小学校入学までの、計2回接種することになった。
なお、他の生ワクチン接種後1ヶ月以内の場合や妊婦は接種できない。
予防と対策
ワクチン空白期
日本では「ワクチンの安全性」が取り沙汰された結果、1994(平成6)年の法改正でワクチン接種の
義務
が無くなった。
そして事前の予想通り、麻疹や
風疹
、
インフルエンザ
などの大流行を招いた。多少のリスクはあっても国民全員がワクチンを理解することの重要性を示した例といえる。
2006(平成18)年4月より上述のようにワクチン接種が復活することになるが、この間は未接種者が多く、伝染病の患者予備軍となっている。
現在の流行状況
2001(平成13)年に大流行し、34,000人の患者が報告され、推定約28万人が感染したとされている。
2004(平成16)年より急減し、2005(平成17)年は10月中旬までの報告では2001(平成13)年の同時期と比較し1/60にまで減った。三重県や宮崎県など、県や自治体によっては2005(平成17)年内で感染者が0のところもある。
これは一歳児へのワクチン摂取が広がり、その効果によるものとみられ、小児科医の長年の悲願であった麻疹制圧も遂に視野に入って来た。2006(平成18)年度より
MRワクチン
を導入したのも、このような状況に対応したものと思われる。
ところが2007(平成19)年から2008(平成20)年になると、東日本で麻疹の大流行を起こした。この感染者は、ちょうどワクチン空白期にあたる層と見られている。
また、2016(平成28)年にも東日本を中心として麻疹の大流行を起こした。同様にワクチン空白期にあたる層が感染者と見られている。
海外の例
海外では、例えばアメリカでは2回接種が行なわれ麻疹はほぼ根絶されているが、カナダではまだ流行がある。
アジア、中東、ヨーロッパ、そしてアフリカ全体はまだ麻疹が広く流行しており、特に
支那
・
インド
や、モンゴル、インドネシア周辺の島々では大流行をしている。
海外旅行前にワクチン接種
流行期以外に、日本国内で感染することは稀である。
流行期の日本では、空港や、海外旅行者が多く集まりそうな場所は、感染の可能性があり危険である。
日本人が麻疹に感染するのは、海外旅行が主である。麻疹が流行している国に渡航する前には、麻疹含有ワクチンの接種歴を確認し、未接種または未罹患の場合はワクチン接種後に渡航するべきである。
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