直流送電
読み:ちょくりゅうそうでん
電力を直流で送電すること。
概要
1880年代に勃発した直流派のエジソン陣営と交流派のテスラ陣営との「電流戦争」でテスラ陣営が勝利したことにより、直流送電は廃れていた。当時は技術的な問題で直流送電が実用化できず、このため、当時の技術でも容易だった交流送電が普及した。
しかし交流送電には様々な弱点があるほか、技術革新により直流送電の弱点も克服されて来たため、世界中で徐々に採用される兆しである。
特徴
利点
直流送電は、交流送電より低コストで、交流送電より低損失で、交流送電より大電力を、交流送電より長距離に送電できる。
次のような特徴がある。
- 実用的な交流送電は三相交流で3本の電線が必要だが、直流送電では2条の導体でできる(大地を帰路とした場合は1条)
- 交流の最高電圧は実効値の√2倍になり絶縁もその分が必要だが、直流はそのようなことが無い
- 表皮効果がない
- リアクタンスの影響がない
- 静電容量の影響がない
欠点
- 電流の開閉(遮断)が困難 (交流には0Vになる瞬間が存在するため開閉でアークが少ないが、直流には0Vになる瞬間が無い)
- 交直変換に関する設備が必要になる
現状と今後
直流送電では長距離送電が可能なため、離島への海底送電、あるいは大陸間などでの送電が可能である。西ヨーロッパで広く普及している他、支那において1000km以上の直流送電が採用されている。
この長距離送電の性能に注目が集まっている。
例えば、北アフリカから中東など、赤道に近く日照量の多い地域に大規模な太陽光・太陽熱発電所を建設、この電力をヨーロッパに直流送電する計画もある。将来的には、石炭・石油・天然ガス等の燃料を輸入して国内で発電するだけでなく、電力そのものを輸入する時代が来ると見込まれている。
結論
送電だけなら直流の方が望ましいが、使い勝手は交流の方が望ましい。
従って、日本では海底ケーブルや長距離送電では直流が使われるが、世界中どこででも、最終的には交流に変換されて使用されている。
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