変電所
読み:へんでんしょ
外語:electrical substation
電力系統において、電圧や周波数を変換する設備。
概要
一般に、発電所は人里離れたところに作られ、電力が大量に消費される都市や工業地帯まで距離がある。電力をできるだけ効率よく送るためには、電力=電圧×電流であること、電力喪失は電流の2乗に比例することを考えると、電圧を高くすると有利である。
ゆえに、高圧送電線などに代表される送電線は、高い電圧で電気を送るのである。
そして実際に供給される場所の近隣に電圧を落とす設備を作り、配電することになるが、この設備が変電所である。
特徴
階級
高い電圧を扱うためには大規模な設備が必要であり、こういったものを住宅地の至近(土地代が高い)に作るのは経済的ではない。
そこで発電所から消費者の間で、段階的に電圧を下げていく手法が取られている。対応する変電所を用いて順次電圧を下げていくことを、電圧階級と呼ぶ。
集合・分散
変電所は、複数の箇所へ配電する分岐点となったり、逆に複数箇所からの電力をまとめたりする機能も担っている。
こうして送電を複数経路とすることで、落雷や断線などの障害時に特定箇所を切り離し、別経路から送電することで回復が可能である。
変換
送電時の都合や送電先の都合により、交流と直流を変換する交直変換所、50Hzと60Hzの周波数を変換する周波数変換所といったものもあり、これらも変電所の一種である。
交直変換については、津軽海峡をまたぐ北海道・本州間連系と、和歌山と徳島間の紀伊水道直流連系などがある。海底ケーブルや大陸横断など、長距離ケーブル送電線は対地静電容量が大きくなるため、充電電流の流れない直流送電の方が主流となっている。また、直流だと送電線の本数を減らせるというメリットもある。そして既設の交流送電の送電線に流すために、再度交流に変換するのである。
周波数変換については、特に日本の場合、東日本(50Hz)と西日本(60Hz)で電力不足時の融通のために、50Hzを60Hzに、または60Hzを50Hzに変える設備が用意されている。日本の電力会社が使うものは、次の3ヶ所がある。
- 電源開発・佐久間周波数変換所(静岡県浜松市佐久間町) 30万kW
- 東京電力・新信濃変電所(長野県東筑摩郡朝日村) 60万kW
- 中部電力・東清水変電所(静岡県静岡市) 10万kW (仮運用中のため。2014(平成26)年12月本格運用時30万kW予定)
東清水変電所は、東京電力への電力融通のため、5月に13万kWに増強、また30万kWの本格運用を急いでいる。
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