シアン化水素
読み:シアンかすいそ
外語:hydrogen cyanide
無色でオレンジに似た独特の臭気を持つ可燃性有毒ガス。
青酸
ともいう。
毒物
指定。
目次
概要
基本情報
誘導体、関連物質の例
性質
発生
事故
反応
安全性
危険性
有害性
環境影響
概要
基本情報
組成式: HCN
構造式: H‐C≡N
分子量
: 27.03
比重
: 0.69(液体) (水=1)
融点
: -13℃
沸点
: 26℃
CAS番号
: 74-90-8
ICSC番号: 0492
化学名: formonitrile (IUPAC名)
外観: 特徴的な臭気のある、無色の気体あるいは液体
溶解性:
水
と混和する
誘導体、関連物質の例
シアン化カリウム
シアン化ナトリウム
性質
発生
青酸カリ(
シアン化カリウム
)(KCN)に
希塩酸
を注ぐと気体の青酸(HCN)が発生する(KCN+HCl→KCl+HCN↑)。
古くなった青酸塩で殺害しようとしても、KCN+CO
2
+H
2
O→KHCO
3
+HCN で劣化反応が起き、効き目が薄まる。青酸中毒患者が助かる原因の多くはこの劣化反応だとされる。
事故
ABS樹脂やAS樹脂は、火災などで燃焼した時に大量のシアンガスが発生する。
鉄錯体である
ヘモグロビン
の酸素が配位すべきところに
シアノ基
が配位してしまうことで、このシアン化水素を吸い込んでしまうと、臓器や
脳
に
酸素
が送られなくなり死亡する。火災で一酸化炭素中毒死と推される例のうちの幾らかは、実際はシアン中毒による死亡である可能性もある。
シアン
は、
ミトコンドリア
の
チトクロム
に障害を与え、
電子伝達系
を阻害する。そのため
細胞
内呼吸が阻害され、即ち全組織が障害を受け致死的なダメージとなる。
反応
青酸は古くから自殺や暗殺の毒薬として使われて来たが、メッキ工場や倉庫の燻蒸、ある種の有機合成化学などにも用いられているため、産業事故としても起こり得る中毒である。シアン中毒は速効性で致死的であるが、解毒薬も整っているため心停止さえしなければ蘇生できる可能性が高い。
シアン中毒が疑われた場合は、毒物の遺残物や
嘔吐物
に
水
で濡らした古い10円玉を接触させると奇麗になるので簡易検出法として有効である。
中毒の治療には亜硝酸アミル、亜硝酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムなどが使われ、希釈した溶液を
静脈注射
する。
安全性
危険性
気体/空気の混合気体は爆発性である。この気体は空気とよく混合し、爆発性混合物を生成しやすい。
引火点: -18℃(密閉式)
発火点: 538℃
爆発限界: 5.6〜40.0 vol%(空気中)
有害性
刺激
腐食性: (該当資料なし)
刺激性: 眼、気道を刺激する
感作性
: (該当資料なし)
毒性
急性毒性
: (該当資料なし)
慢性毒性
: (該当資料なし)
がん原性: (該当資料なし)
変異原性
: (該当資料なし)
生殖毒性: (該当資料なし)
催畸形性
: (該当資料なし)
神経毒性: (該当資料なし)
規制値
一日許容摂取量
(ADI): (該当資料なし)
暫定耐用一日摂取量(PTDI): (該当資料なし)
急性参照値(ARfD): (該当資料なし)
暴露許容濃度(TLV): 4.7 ppm(天井値); (
皮膚
) (ACGIH 2003)
最大許容作業濃度(MAK): 1.9ppm、2.1mg/m
3
; ピーク暴露限度カテゴリー: II(2); 妊娠中のリスクグループ: C; 皮膚からの吸収 (H); (DFG 2002)
環境影響
分解性: (該当資料なし)
蓄積性: (該当資料なし)
魚毒性: 水生生物に対して毒性が非常に強い
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