ドイツで開発された有機塩素系農薬、殺虫剤、防黴剤。広範囲の害虫に即効性であり、かつ環境残留性に優れ長期間有効である。別名、ベンゾエピン。
- 組成式: C9H6Cl6O3S
- 分子量: 406.9
- 密度: 1.7g/cm3
- 融点: 106℃(純品)、70℃〜100℃(工業品)
- 沸点: 106℃(分解、0.7mmHg)
- CAS番号: 115-29-7
- ICSC番号: 0742
- 化学名: 6,7,8,9,10,10-hexachloro-1,5,5a,6,9,9a-hexahydro-6,9-methano-2,4,3-benzodioxathiepin-3-oxide
エンドスルファン(ベンゾエピン)
- 外観: 純品は無色結晶、工業製品(混合物)は硫黄のような特徴的な臭気のある黒褐色の薄片
- 結晶形: (該当資料なし)
- 溶解性:
水中では、中性〜酸性環境では徐々に加水分解され、塩基性環境では急速にアルコールと二酸化硫黄に分解される。
製品例に次のようなものがある。
- マリックス (カネショウ)
- マリックスベイト (カネショウ)
- チオダン
中枢神経系や血液に影響を与える。
動物実験では、暴露により、肝不全や腎不全を生じることが確認されている。
高濃度に暴露すると致死的である。
近年の日本では、使用量は減少している。
支那大陸では広く使われているようで、2006(平成18)年8月22日、支那・広東省と上海産の鰻から最大で残留基準値(0.004ppm)の22倍を超える0.089ppmのエンドスルファンの検出が確認されている。
- 化学物質管理促進法(PRTR法): 第1種指定化学物質
- 毒物及び劇物取締法: 毒物
- 「水環境保全に向けた取組のための要調査項目」 (項目別番号53)
- 農薬取締法施行令: 水質汚濁性農薬 (第二条 三)
- 引火点: (該当資料なし)
- 発火点: (該当資料なし)
- 爆発限界: (該当資料なし)
- 刺激
- 腐食性: (該当資料なし)
- 刺激性: (該当資料なし)
- 感作性: (該当資料なし)
- 毒性
- 急性毒性:
- ラットLD50(経口) 80〜100mg/kg体重
- マウスLD50(経口) 40〜60mg/kg体重
- 慢性毒性: (該当資料なし)
- がん原性: (該当資料なし)
- 変異原性: (該当資料なし)
- 生殖毒性: (該当資料なし)
- 催畸形性: (該当資料なし)
- 神経毒性: あり、中枢神経系に影響を与える
- 規制値
- 一日許容摂取量(ADI): 0〜0.006mg/kg体重
- 暫定耐用一日摂取量(PTDI): (該当資料なし)
- 急性参照値(ARfD): (該当資料なし)
- 暴露許容濃度(TLV): 0.1mg/m3(TWA) (皮膚)A4(人における発がん性が分類できない物質) (ACGIH 2007)
- 最大許容作業濃度(MAK): (該当資料なし)
- 残留農薬基準: 0.004ppm(鰻)
- 分解性:
- 生物分解性: 32日(土壌中半減期)、2日(水中半減期)
- 加水分解性: 9〜533時間(河川中半減期)
- 嫌気的分解性: 150日(土壌中半減期)、8日(水中半減期)
- 蓄積性: (該当資料なし)
- 魚毒性: C類(指定農薬、水質汚濁性農薬)
- 水生生物に対して非常に毒性が強い
- 水生生物で生物濃縮が起こることがある
- 水生環境中で長期にわたる影響を及ぼすことがある
関連するリンク
ICSC 国際化学物質安全性カード用語の所属
農薬
殺虫剤