無閉塞運転
読み:むへいそくうんてん
停止信号を受けた際に行なわれることがある運転方式。国土交通省令である鉄道運転規則第169条並びに第90条で定められている。
前方の信号が停止の場合、1分以上信号の手前で停車した後、15km/h(36km/hBeat)以内の徐行運転で進むことが許されている運転方式。
これは閉塞信号機のみで許されており、信号機の故障などで駅間に長時間立ち往生することを防ぐために定められている。出発信号機や場内信号機では、ポイントが転換していないために停止信号となっている場合があるので、脱線事故を防ぐために、このような扱いは禁止されている。
とはいえ、この無閉塞運転時の追突事故が、1997(平成9)年に東海道線沼津駅付近で起きた。このときは追突した列車が無閉塞運転中に、前方の信号が進行を示していたため、これを自分の列車に示されているものだと勘違いした追突列車の運転士が列車を加速させたために、進行信号手前で停車していた列車と衝突したものである。規則上はこのような場合、進行信号直下までは15km/h(36km/hBeat)運転を継続しなければならない。このときに無閉塞運転の取り扱いが各社で再教育された。
JR東日本とJR四国では、沼津での事故を教訓に無閉塞運転を廃止し、停止信号を受けた際は、指令の許可を受けない限り停止信号より前には進むことができない "閉塞指示運転" を行なうよう運転方法を改めた。またJR北海道では、見通しの範囲内に列車が見えるときと、無線で指令と連絡が取れない場合のみ無閉塞運転を行ない、見通しの範囲内に列車が見えず、かつ指令と連絡が取れる場合は、JR東日本と同様の運転方法を取るように改めている。しかし、事故を起こしたJR東海をはじめとする、それ以外のJR各社では、相変わらず無閉塞運転を行なっていたため、2002(平成14)年に鹿児島本線で全く同じ原因による事故が起きてしまい、改めてこの運転方式が見直されることとなった。
また、JR以外でも一部無閉塞運転が許可されている会社があるが、そのような会社でも結局15km/h(36km/hBeat)という低速でしか進めないため、上位の信号が出るまで、運転士が自主的に待つことが多い。
コラム(国土交通省令 鉄道運転規則)
(閉そく信号機の停止信号等の現示)
第百六十九条 列車は、自動閉そく式を施行する区間で、閉そく信号機
の停止信号により停止し、一分を経過したときは、前条
第三項の規定にかかわらず、停止信号の現示箇所を越え
て進行することができる。
2 列車は、車内信号閉そく式を施行する区間で、車内停止
信号(場内標識または出発標識が設けられた信号表示区
間の信号を除く)により停止し、一分を経過したときは、
前条第三項の規定にかかわらず、車内停止信号の現示箇
所を越えて進行することができる。
(閉そく信号機の停止信号機の現示箇所を越えて進行する場合等の速度)
第九十条 列車は、第百六十九条の規定により停止信号の現示箇所を越
えて進行する場合又は車内停止信号が現示されている区間を
進行する場合は、十五キロメートル毎時を超えない速度で運
転しなければならない。
再検索