読み:ケン

 時に、長い訓読みがあるとして話題に上がる字。
目次

情報

漢字
 u72f7

意義
  1. 短気

概要

大漢和辞典
 大漢和辞典には、次のように書かれている(部分引用)。
 【狷】 20426
 〓ケン〔集韻〕規掾切 〓〓〓〓 chu¨an4 ※韻の説明は「霰、去聲」
 〓ケン〔集韻〕古〓切 ※韻の説明は「銑、上聲」
 〓ケン〔集韻〕圭玄切 ※韻の説明は「先、平聲」
 〓〓(一)氣みじか。心がせまくきびしい。短慮。卞急〓。
 (二)かたく節〓義を守り、意を曲げては爲さぬこと。
 (三)ためらふ。疑つて猶〓豫する。
 (四)とく跳ぶ。
 (五)或は〓(7-20724)に作る。
 〓 〓〓の(一)に同じ
 第一義には「短気」の意である旨、説明されている。
 日本語では「狷介」(けんかい)で「狭量で自分の考えに固執し人の意見を聞こうとしないこと」を表わす。

康熙字典
 康熙字典網上版には、次のように書かれている。
 狷 〔唐韻〕古縣切〔韻會〕規縣切〓音〓絹〔〓文〓〕褊急〓也从犬〓聲〔集韻〕有所〓不爲也〔論語〕狷者有所〓不爲也〔晉語〕小心狷介不敢行也〔後漢〓〓興傅〕豊亦狷急〓〔註〓〕狷疾也 又〔廣韻〓〕〔正韻〓〕古掾切〔集韻〕規掾切〓音〓〓又〔集韻〕〔韻會〕〓古〓切音〓〓或作〓義〓同 又〔集韻〕圭懸切音〓涓亦有所〓不爲也 又〔玉篇〕疑猶〓豫也○按廣韻集韻〓書作u72f7-itaiji-001
 集韻に書かれるとした「〓」の字は、偏は目と思われるが、康熙字典の字は耳に似る。最後の補足で、廣韻集韻は旁の上を口ではなく厶に作るとしている。
 音は反切で、唐韻が「古縣」、韻會が「規縣」、正韻が「古掾」、集韻が「規掾」、集韻が「規掾」、集韻と韻會が「古〓」、集韻が「圭懸」とし、直音法では、韻會が「絹」「涓」、集韻が「〓」「涓」と同じとする。

他の資料
 Unicodeの資料UNICODE HAN DATABASE(UniHan)には、次のようにある。
 U+72F7 kJapaneseKun TAMERAU
 U+72F7 kJapaneseOn KEN
 UniHanでは、出典や根拠が定かではないが、訓読みとして「ためらう」があるとする。
 角川新字源では、u72f7-itaiji-001は狷の俗字とし、次のように説明する。
 4785【狷】犬7(10) ケン
 (1)心がせまい。気みじか。
 (2)かたいじ。がんこ。
 音読みはあるが、角川新字源でも訓読みは定義されていない。

日本語

発音

熟語

補足
 この字は、なんだかとっても!いいかんじに登場する変な読みの漢字のうち、たった5つしか無いJIS X 0208収録の文字の一つである。
 「なんだかとっても!いいかんじ」では、「こころがせまい」という訓読みを与えている。この典拠は「漢字部屋」に訓として記されていたことによる。漢字部屋は、参考文献として大漢和辞典、漢字源、新大字典、新漢語林、中華字海を挙げているが、訓の初出は不明。
 参考文献になっていない角川新字源に「心がせまい」とあるので、この参考文献のうち何れかの説明に「心がせまい」があったのかもしれない。いずれにせよ、訓読みとしては全く熟しておらず、コンセンサスも得られていない。

符号

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