読み:ショク

 時に、長い訓読みがあるとして話題に上がる字。
目次

情報

漢字
 u55c7

意義
  1. 惜しむ
  2. 卑しい、支配
  3. 貪る
  4. 積む
  5. 収める
  6. 控え目にする、省く
  7. 滞る
  8. 合う

字源
 会意文字。來(来)+〓(りん)。
 「來」は麦の象徴で農作物を表わす。「〓」は農作物を蓄える倉の形。
 「嗇」は穀物を収める倉の形で、「穡」の古字である。
 惜しんで収めることから、出し惜しみをするの意となる。

概要

大漢和辞典
 大漢和辞典には、全部で12の義が書かれている。
 著作権の理由により全文の引用は避け十二義の説明を省くが、その後の解字には、次のように書かれている。
 【嗇】 4053 シ〓ヨク シキ 〔集韻〕殺測切 〓〓` se^4
 (中略)
 [解字]會意。來と〓(もみぐら)との合字。本義は入れることを知つて出すことを知らぬ吝嗇の意。吝嗇家が惜しんで出すことを知らぬのは、恰も持つて來た穀を倉に受け入れるに似てゐるから、來と〓とを合せて、出しをしみの意を表はす。
 一〓に、〓文では〓、或はu2ff1-u3be4-u342dに作り、二禾、或は二來に从ふを見れば、本義は穀物をとり入れる義で、穡の古字である。故に來(むぎ)と〓とを合せて、とりいれの意を表はすといふ。
 〔〓文、嗇、段注〕〓从來〓之意也、嗇者、多入而少出、如田夫之務蓋藏故以來〓、會意。
 〔〓文通訓定聲〕嗇、按、〓文作〓、从二禾、又作u2ff1-u3be4-u342d从二來當據牆篆偏旁補又此字本訓當爲收穀、〓穡之古文也、轉注爲愛〓之義。
 解字によれば、大きく二つの義があるとしている。
 義は吝嗇、つまり「ケチ」とし、別説として穀物を取り入れるの義とする。

康熙字典
 康熙字典網上版には、次のように書かれている。
 嗇 古文
 〓〓〓〓〔唐韻〕所〓力切〔集韻〕〔韻會〕殺測切〓音〓色〔〓文〕本作〓愛〓也从來从〓來者〓而藏之故田夫謂之嗇夫〔玉篇〕愛也慳貪也〔易〓卦傅〕爲吝嗇〔左傅襄二十六年〕嗇干〓〔註〕嗇貪也 又〔老子道徳經〕治人事天莫如嗇〔註〕嗇者有餘不盡用之意〓 又〔史記倉公〓傅〕脈嗇而不屬 又官名〔書胤征〕嗇天馳〔註〕嗇夫主幣之官〔詩小雅田〓至喜箋〕田〓司嗇今之嗇夫也〔史記張釋之傅〕虎圈嗇夫〔註〕正義曰掌虎圈百官表有郷嗇夫此其類也 又與穡同〔儀禮特牲饋食禮〕主人出寫嗇干房〔註〕嗇者農力之成功〔前漢成帝〓紀〕服田力嗇
 一部、異なる字があると見込まれる。

補足
 Unicodeの資料UNICODE HAN DATABASE(UniHan)には、次のようにある。
 U+55C7 kJapaneseKun OSHIMU YABUSAKA
 U+55C7 kJapaneseOn SHOKU
 角川書店 角川新字源 二八四版(小川環樹、西田太一郎、赤塚忠 編)に拠れば、漢音はショクである。意味として、次のように記載がある。
 (1)とりいれ。収穫。同〓穡。
 (2)おしむ(をしむ)。ものおしみする。→付・同訓異義。
 (3)やぶさか。けち。「吝嗇りんしょく」
 (4)ひかえめにする。
 (5)むさぼる。
 新字源によれば、うち、「おし‐む」「やぶさか」が熟している訓であるとしており、UniHanに採用されたのは妥当ということが可能なのであろう。
 別の資料として、ATOK2010の文字パレットでは、読みは、音読みは「ショク」、訓読みは「お・しむ」となっている。

日本語

発音

熟語

補足
 この字は、なんだかとっても!いいかんじに登場する変な読みの漢字のうち、たった5つしか無いJIS X 0208収録の文字の一つである。
 「なんだかとっても!いいかんじ」では、「ひかえめにする」という訓読みを与えている。この典拠は「漢字部屋2」に訓として記されていたことによる。漢字部屋は、参考文献として大漢和辞典、漢字源、新大字典、新漢語林、中華字海を挙げているが、訓を拾った元を明らかにしていない。
 大漢和辞典や、(参考文献にはなっていないが)新字源では意味として「ひかえめにする」と記載しているので、これを訓として記載した可能性はある。
 但しこの「ひかえめにする」は、体調をおもんぱかっていう「久しく治らない病なら、酒を勧めるのを控え目にする」という用法ではなく、「倹約」「節約」といった意味に使われる。残念ながら、歌詞での用法は誤用であろう。

符号

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