USB 3.0
読み:ユーエスビーさんてんゼロ
外語:USB 3.0

 汎用シリアルバスインターフェイス規格USBのバージョン3.0のこと。
目次

概要

由来
 USB 3.0は、既存のUSBに対し後方互換性を持ったバス規格である。
 USB 3.0はUSB 2.0と互換性があり、USB 2.0にある4つの転送モード(アイソクロナス転送、インタラプト転送、バルク転送、コントロール転送)は全てに対応する。USB 3.0対応のパーソナルコンピューター(PC)は、従来のUSB 2.0対応機器をそのまま利用できる。
 逆に、USB 3.0対応デバイスをUSB 2.0のPCに繋いで使うことも可能だが、この場合の性能/機能はUSB 2.0のものとなるほか、物理的形状の差異から、接続できないこともある。
 USB 3.0のケーブルについては、Aコネクター(平形)はUSB 2.0コネクターに接続可能だが、Bコネクター(角形)は形状が異なるためUSB 2.0コネクターに接続できない。
 拡張のため、後方互換性には一定の制限が存在する。

推進団体
 2007(平成19)年9月18日、USB 3.0を開発する団体「USB 3.0 Promoter Group」が結成された。
 中心となる米Intelのほか、IT業界大手が多く参画している。参画企業には、Hewlett-Packard(HP)、MicrosoftNEC、NXP Semiconductors(Philipsから分社した半導体事業)、TI(Texas Instruments)などがある。
 完成した仕様は、2008(平成20)年11月17日に発表され、以降はUSB規格の管轄団体、USB Implementers Forum(USB-IF)へと管理が移管された。

特徴

速度
 速度は、USB 2.0(最大伝送速度は480Mbps)の10倍、5.0Gbpsを実現した。
 現時点で、ここまでの速度を要求する機器はそれほど多くはないが、近年発達のめざましいUSBメモリーなど記録媒体用として、高速な伝送速度が求められていた。

普及
 ハイエンド製品を中心として搭載されているが、登場から約2年経過した2011(平成23)年夏時点でも対応製品はわずかで、殆どの製品はUSB 2.0にしか対応していない。
 これらはコスト面が原因であるが、Intelも2012(平成24)年から出荷予定のチップセットからUSB 3.0に標準対応する予定で、これ以降に発売されるパーソナルコンピューターの大半は標準的にUSB 3.0に対応することになる。その後は、量産効果なども手伝ってデバイス側も低廉化が進み、USB 3.0が普及していくものと思われる。

電源
 USB 3.0として使用中でも、電源ピンは従来と同じものを使う。
 USB 2.0までは、電源はケーブルあたり最大で+5V 500mA(0.5A)を供給していた。
 USB 3.0では、電源も強化され、ケーブルあたり+5Vで100mA〜900mAを供給する。

技術

コネクター

種類
 USB 3.0では信号送受信線が二対追加されるため、GNDと合わせて5ピン増える。標準とmicroUSBで用意されている。

Standard-A
 標準Aプラグ/レセプタクル(4ピン)の場合、奥の方に新たな5ピンが追加され、計9ピンとなった。
 
 
 USB 2.0では接点のないところに端子が追加されている。形状に互換性があり、USB 2.0機器と相互に接続可能。

Standard-B/Powered-B
 標準Bプラグ/レセプタクル(4ピン)の場合、別の端子5ピンが設けられ、計9ピンとなった。形状が異なるため、USB 2.0プラグをUSB 3.0コネクターに差し込むことは可能だが、その逆はできない。
 
 
 また、更に2ピン増やし、デバイス側からホスト側に向けて電源を供給することができるPowered-Bコネクターが存在する。

Micro-B(Micro-AB/A)
 ミニUSBでUSB 3.0に対応するものはないが、更に小型のmicroUSBではUSB 3.0に対応するものがある。
 5ピンの標準の端子(USB On-The-Goで使うID信号ピンが追加されているため1ピン多い)の横に、USB 3.0用の5ピンの端子が並べて付けられている。
 このため、USB 2.0プラグをUSB 3.0コネクターに差し込むことは可能だが、その逆はできない。

信号の追加
 USB 3.0はUSBという名だが、従来のUSBとは全く異なる、電気的に互換性のない信号線を使う。USB 3.0対応のコネクターは専用の端子が追加されており、形状が変わっている。
 これは、目標とするデータ帯域幅を実現させながら、従来との互換性を確保するという両立しえない問題の、もっとも現実的でかつ安価な解決方法が、従来の信号線と新規の信号線の二つのバスを併せ持つアーキテクチャーだったのである。このため、一時は光ファイバーを使おうという話まであった。
 USBには、USBホスト→USBハブ→USBターゲット、とあるが、全経路において、USB 3.0の信号線と、従来の信号線は別経路となっている。

信号線

Standard
 Standard-A/Standard-Bは、次の通り。
ピン信号名
AコネクターBコネクター
1VBUS
2信号(D-)
3信号(D+)
4GND
5受信(-)送信(-)
6受信(+)送信(+)
7GND
8送信(-)受信(-)
9送信(+)受信(+)

Powered
 Powered-Bは、次の通り。
  1. VBUS
  2. 信号(D-)
  3. 信号(D+)
  4. GND
  5. USB 3.0送信(-)
  6. USB 3.0送信(+)
  7. GND
  8. USB 3.0受信(-)
  9. USB 3.0受信(+)
  10. DPWR
  11. DGND
 形状はBコネクターであるが、2ピン追加された。

物理層
 既存のUSBはNRZIを採用しているが、USB 3.0の信号線では8b/10bとPRBS7が採用された。
 新規の信号線を追加することから、当初は光ファイバーを付加する計画もあった。USB 3.0では実現しなかったが、これはThunderboltという別の規格で実現した。
 USB 3.0は、技術的にはPCI Express Rev. 2.0やシリアルATAに近く、物理層制御用チップ(PHY)の設計はPCI Express用のものが流用できるようになっている。このため、規格策定からサンプル出荷までがごく短期間で可能となったほか、全体的なコストも抑えられることになった。

論理層
 プロトコルも、USB 2.0のものとは大きく変更された。
 USB 2.0のプロトコルは基本的にブロードキャストされるため、本来の宛先で無いデバイスもそれを受信する。その処理には一定の電力が必要なので、省エネ面で問題となっていた。
 USB 3.0では、通信はユニキャストとなり、無駄な応答を減らしている。またUSB 2.0まででは常時実行されていたポーリングも、USB 3.0では、デバイスがそれを求めなければ停止することも可能となった。

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