IEEE 802.11ac
読み:アイトリプルイーはちゼロにーてんいちいちエイスィー
外語:IEEE 802.11ac

 IEEE 802.11の作業部会の一つで、IEEE 802.11/a/b/g/nに続く第5世代の無線LAN規格の開発を目的とする。および、この作業部会で作られた規格のこと。
目次

概要
 具体的にはIEEE 802.11a/b/g/nの後継規格となる、更に高速な無線LANを標準化する作業部会である。
 第5世代であるため「5G Wi-Fi」とも呼ばれ、理論帯域幅で最大433Mbps〜6.93Gbpsでの通信を実現する。
 2012(平成24)年1月5日に米BroadcomがIEEE 802.11ac対応コントローラーを発表し、その後、CES期間中に記者説明会を実施した。そして2014(平成26)年1月7日(米国時間)、IEEEはIEEE 802.11acを承認し、「IEEE 802.11ac-2013」として正式に規格化された。

特徴

製品
 2012(平成24)年時点で、米国ではドラフト規格に準拠した製品が発売されていた。
 日本国内では総務省による11acへの認可が遅れたため、メーカーは製品だけは製造し準備、2013(平成25)年3月27日付けの官報(号外第63号)による省令改正で5GHz帯で80MHz、160MHz幅の利用が可能になると、同日にNECアクセステクニカ、バッファロー、アイ・オー・データ機器が「802.11ac Draft準拠」の製品リリースを案内、翌々日の3月29日にはバッファローのWZR-1750DHPの市販が始まっていた。
 またIEEEの承認で正式に規格化されると、2014(平成26)年1月8日(日本時間)、NECアクセステクニカなどが「正式対応製品」のリストを公開し、ドラフト準拠の製品がそのまま正式な製品となった。

名称
 IEEE 802.11の名称は、無印の後は、a…zの英字1文字が付く。この英字が使い尽くされると、aa…az、ba…bz、そしてza…zzまで英字2文字が続けられる。
 11acは11aと似て見えるが、何の関係もない。

世代(Wave)

速度
 通信速度は、帯域幅(80MHz/160MHz)、MIMOのアンテナ数(1から8まで)、変調方式(最大で256QAM)によって変化する。
 理論上は、1ストリームで最大433Mbps@80MHz、最大はその16倍の6.93Gbps@160MHzである。

変調方式
 従来の無線LANでは一般に、変調方式として64QAM(6ビット/シンボル)が用いられていたが、11acでは256QAM(8ビット/シンボル)が追加された。
 256QAMは、64QAMと比して33%の性能向上となる。

ストリーム数
 前の802.11nでは、空間ストリームは1から3までだったが、11ac対応機器は空間ストリーム数は最大8となった。
 多地点への同時アクセスやマルチチャンネル通信を行なうため、MIMOを拡張した「MU-MIMO」(Multi User MIMO)技術が採用された。
 なお、一つのストリームあたり、11acは433Mbps(前の11nでは150Mbps)であり、空間ストリーム数に応じた整数倍の速度となる(8ストリームなら、433Mbps×8=3,464Mbps=約3.5Gbps)。
 ただし初期のハードウェアは、11nと同様に空間ストリーム数が3に制限されていることが多い。この、帯域幅80MHzの3×3 MIMO製品は、理論値1,299Mbps=約1.3Gbpsとなる。

周波数帯
 11acは、11aと同じ5GHz帯を使用する。
 11b/g/nが使用する2.4GHz帯ISMであり、他の用途が多い。5GHz帯を使うことで、干渉を受けにくく、安定した通信の維持を可能とする。

ビームフォーミング
 電波の経路を最適化するビームフォーミングに対応することで、利用可能エリアの拡大をする。
 ビームフォーミングは11nで採用されたが、オプション機能であり、未対応の機器が多い。
 11acでは標準で対応し、利用可能エリアを3割から4割程度広げ、また電力効率の改善により省エネにも寄与する。

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