IDE
読み:アイディーイー
外語:IDE: Integrated Drive Electronics

 ハードディスクドライブなどを接続するためのインターフェイスの規格の一つ。パラレルATAの元となった。
目次

概要
 もともと、Compaqが自社のパーソナルコンピューターで使用するために、Conner Peripherals(後にSeagate Technologyが買収)というディスクメーカーと共に開発した独自仕様だった。
 これは、それ以前に使われていたST-506のHDC(ハードディスクコントローラー)、WD1003とレジスターレベルで互換性があった。
 その後は各社が採用し、後に正式な規格としてATA(ANSI X3.221-1994)が作られた。
 ATAという仕様制定以降も、IDEやE-IDEという呼称が使われ続けた。

特徴

機能
 ATAの由来でもある初期のIDEは、ST-506のHDCであるWD1006(WD1003の後継)相当のコントローラー機能をディスクドライブ側に持ち、簡単な論理回路のみでISAバスに接続可能としたものである。
 そもそもST-506の場合、カード側に搭載されたHDCが全ての制御を行なっており、34ピンの制御線で磁気ヘッドのシークなどの制御を行ない、20ピンのデータ線でデータの送受信をするという、インテリジェント性皆無のインターフェイスであった。
 IDEは、このインターフェイスをインテリジェント化したものといえる。

コネクター

3.5と2.5
 IDE、後継のパラレルATA含め、3.5インチHDDでは40ピンのコネクターが使われている。
 なお、2.5インチHDDでは44ピンのコネクターが使われており、物理的形状が異なるためケーブルの共用は出来ない。2.5インチの44ピンのうち、41番から44番の4ピン分は、電源ピンとなっている。3.5インチはペリフェラル電源コネクターから電源供給するが、2.5インチはそのスペースがないため、ここに電源端子を設けている。

逆挿し
 今でこそ差し込み口の外側に切り口ができ、中央の20番ピンだけ欠落することで逆指しできないようになっているが、昔はそうではなかった。
 古いIDE(ATA)ではコネクターには方向性がなく、どちらの方向にも挿せた、いささか危険なものであった。40ピンあるが、後に20番ピンだけ方向性を付けるために使われなくなり、マザーボード側はピンが抜かれ、ケーブル側は20ピン部分に詰め物をするようになった。
 古いマザーボードに新しいIDEケーブルを刺すときには、ラジオペンチやニッパーなどで、マザーボードの20番ピンを折る必要があった。

ケーブル
 IDE/ATAケーブルは、一本のケーブルにマスターとスレーブの二台の装置が接続できる。
 ケーブルの途中がスレーブで、末端がマスターとなる。コネクターが色分けされているケーブルがあり、マザーボード側が、途中のスレーブが灰色、マスターが黒、である。

ピンアサイン

原則
 HDDのコネクター部をみて、ピンが無い20番ピンは下側になっており、この時右上端が1番ピン、その下が2番ピン、左上端が39(または43)番ピン、その下が40(または44)番ピンである。
 1番ピンの更に右に、4本ほどのジャンパーピンが付けられた製品も少なくなかった。

3.5インチ
ピン信号ピン信号
1-RESET2GROUND
3DD74DD8
5DD66DD9
7DD58DD10
9DD410DD11
11DD312DD12
13DD214DD13
15DD116DD14
17DD018DD15
19GROUND20キー(逆刺し防止)
21DMARQ22GROUND
23-DIOW: STOP24GROUND
25DIOR:-HDMARDY:HSTROBE26GROUND
27IORDY:-DDMARDY:DSTROBE28CSEL
29-DMACK30GROUND
31INTRQ32(reserved)
33DA134-PDIAG:-CBLID
35DA036DA2
37-CS038-CS1
39-DASP40GROUND

2.5インチ
ピン信号ピン信号
1-RESET2GROUND
3DD74DD8
5DD66DD9
7DD58DD10
9DD410DD11
11DD312DD12
13DD214DD13
15DD116DD14
17DD018DD15
19GROUND20キー(逆刺し防止)
21DMARQ22GROUND
23-DIOW:STOP24GROUND
25DIOR:-HDMARDY:HSTROBE26GROUND
27IORDY:-DDMARDY:DSTROBE28CSEL
29-DMACK30GROUND
31INTRQ32-IOCS16
33DA134-PDIAG
35DA036DA2
37-CS038-CS1
39-DASP40GROUND
41+5V (LOGIC)42+5V (MOTOR)
43GROUND44RESERVED

補足

関連技術
 IDEとATAは本来は異なるが、現在ではほぼ同等のものとして扱われている。
 同時期の対抗は、初期にはSCSIであったが、価格が高かったこともありIDE(ATA)が優勢となった。これを著している今では、SCSIは市場からは姿を消しかけている。
 一時期は、IEEE 1394がATAの後継と目されたこともあったが、実現することはなかった。
 ATA-7/ATAPI-7から、従来の「パラレルATA」に対し、「シリアルATA」が仕様に追加され、現在はこれが主流となっている。
 物理層はシリアル化されたが、プロトコルはATA/ATAPIと互換がある。すなわち、WD1003以来の伝統は、まだ当面の間、伝承されるようである。

IDEとSCSI
 IDEは、パソコンの割り込みを通常2個消費する(標準でIRQ 14と15)。
 かつてはそれを嫌われ、マニアを中心にSCSIでディスクを接続することが多かったが、SCSIは複雑な回路により価格がどうしても下がらない。
 ディスク自体は量産効果などで価格が大幅に下がっても、SCSIは回路の価格が下がらず、2000(平成12)年初頭にはSCSIで8.5Gバイト程度の価格帯でIDEでは28Gバイト程度のものが購入可能と、その容量差は3倍を超えてしまった。

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