AMステレオ放送 |
辞書:通信用語の基礎知識 無線・業務放送技術編 (WBCASTT) |
読み:エイエム-ステレオほうそう |
外語:AM stereo broadcasting |
品詞:名詞 |
中波帯のAM放送でステレオ音声を伝送する放送。
|
概要 |
従来モノラル放送だったAM放送を、FM放送のようにステレオ化したものである。
米国で1981(昭和56)年、日本でも1992(平成4)年に放送が開始された。
電波の型式は、AMモノラル放送がA3Eであるのに対し、ステレオ放送はD8Eである。
放送方式 |
放送方式には、米国で提案されたものだけでも5方式ある。
米国では、このうちMagnavoxに一旦は標準が決まったものの、技術者から反発に合い、結局5方式とも許可してしまったという経緯がある。
日本では最初からMotorola(C-QUAM)に標準が決まったため、無用な混乱はない。
ちなみに米国でも日本と同じMotorolaが普及数では優勢であり、事実上の標準といえる。
受信方法 |
実際にステレオ音声を受信するには専用の受信機が必要で、普通の受信機では従来通りのモノラル音声としてしか受信できない。
また、普通のモノラル受信機に外付けするタイプのアダプターなどは、伝送方法のしくみによる制限で製造不可能である。
技術 |
送受信まわり |
AM方式の放送については、受信機を設計する上で選択度(耐混信性)とオーディオ帯域幅(高音域の再生度)とは相反する関係にある。
一般の受信機では選択度の方を重視した設計になっているため、十分なステレオ感を得るために重要な高音域の再生度が劣っており、テレビ音声やFM放送ほどのステレオ感が得られないという欠点がある。
そもそも、FM放送が1チャンネル200kHz、テレビが6MHzに対し、AM放送は15kHzしかなく、ステレオ信号を電波に乗せる余裕が殆どないという点で、本格的な音質は望むべくもないことが分かる。
Motorola信号方式 |
Motorola(C-QUAM)方式によるステレオ化は、具体的にはFMステレオと同様に、和信号と差信号に分けて信号を送っている。
従来のラジオでも聞けるように、元々の音声となる部分は、左信号と右信号を加算した和信号とする。いわゆるモノラル音声である。
そして、これに左信号から右信号を減算した差信号を別に用意することで、受信側は和信号+差信号=左の信号(L)、和信号-差信号=右の信号(R)という操作で左右の音が得られる。この手法も、FMステレオ放送と同様である。
C-QUAMでは、和信号(L+R)は従来通りの振幅変調(AM)で、新たな差信号(L-R)は位相変調(PM)により変調する。
リンク |
通信用語の基礎知識検索システム WDIC Explorer Ver 7.04a (27-May-2022) Search System : Copyright © Mirai corporation Dictionary : Copyright © WDIC Creators club |