aptX
読み:アプトエックス
外語:aptX

 Bluetooth向けの高音質な音声コーデック。英国CSRにより開発され、その後QUALCOMMに会社ごと買収された。公式にはハイフンなしで「aptX」であり、「apt-X」ではない。
目次

特徴

技術
 現在利用されている多くの音声用コーデックは、聴覚心理を利用した情報の間引きを実施することで情報量を減らしているが、このため音質は劣化する。
 BluetoothのA2DPで使われる音声コーデックは、通常のSBC(SubBand Codec)や、Apple製品を中心にAAC、ソニー製品を中心にLDACなどがある。いずれも間引きをするコーデックである。
 aptXはADPCMの原理を理容して符号化しており、音響の全周波数帯をエンコードすることが可能なため、SBCやAACよりも音質面で有利である。

データ量
 A2DPは、仕様上は2178kbpsまで可能とされているが、実際の機器の処理能力は500kbps未満である。
 これには幾つかの理由があるが、最大の理由は消費電力である。伝送データ量と消費電力は比例関係にあるため、データ量を減らすことはバッテリー寿命を延ばすことに貢献する。
 またデータ量を減らすことはBluetoothが標榜する低帯域幅のコンセプトによるもので、一つの装置のデータ量が少なければ、その分多くの機器が限りある帯域を活用できることになる。
 音楽用CD(CD-DA)のビットレートは1.4112Mbpsの帯域幅があるが、Bluetooth経由でこれを送ることは大変なことである。そこで圧縮して縮めることになった。SBC、AAC、mp3などはかなり強引な圧縮で1/10以上に縮めるのが一般的であるが、aptXは圧縮を1/4とした。

低遅延
 通常のBluetoothで使われるSBCの場合、データはSBC Frameに分割され、所定のデータ単位量が集まった時点で順次Bluetoothで伝送される。このため若干の遅延が生じる。
 aptXは小さなフレームサイズのまま順次伝送するため、低遅延となっている。このため、SBCでは220ms(±50ms)、AAC 128kbpsでは120ms(±30ms)の遅延(レイテンシ)が生じるが、aptXでは70ms(±10ms)に遅延を抑えることが可能となっている。

普及
 Android 4.x以降のスマートフォンの70%以上で対応しているとされる。
 また、ソニーのウォークマンAシリーズなどでも対応するなどしており、音質重視のポータブルオーディオプレーヤーでも採用されているのが特徴といえる。

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