AAC
読み:エイエイスィー
外語:AAC: Advanced Audio Coding

 MPEG-2MPEG-4で使用されている音声符号化方式。1997(平成9)年にISO/IEC 13818-7として規格化された。
目次

情報

概要
 mp3として広く普及したMPEG-1 Audio Layer 3の後継として作られた。
 仕様上はMPEG-2 AACMPEG-4 AACがあり若干の相違はあるが、基本的なアルゴリズムは同じものであり、一般的な利用者から見れば、ファイルのヘッダー領域が1ビット違うだけである。

特徴

由来
 1993(平成5)年にモノラル・ステレオの音声符号化方式としてMPEG-1という国際規格が作られた。
 翌1994(平成6)年には、多チャンネルサラウンドステレオ音声符号化方式として前方3チャンネル・後方2チャンネルのMPEG-2 BC(Backward Compatible)という国際規格が作られたが、この方式はMPEG-1でも支障なく復号出来る事が求められたことから、当初の予想より情報量を少なくする(高圧縮にする)ことが出来なかった。
 そこで、MPEG-1で復号するという考えを除外する(MPEG-1との互換性を排除する)事で、より少ない情報量で高品質の音声を送ることが出来る(つまり高音質・高圧縮の)MPEG-2 AACという国際規格が作られた。その結果、従来のMPEG-2 BC方式と比べ、約半分のビットレートで同等の音質、つまり情報量を元の1/20に圧縮することが可能となった。

技術
 最も高音質の得られるMainプロファイルの処理では、次のような順序で変換が行なわれている。
  1. ゲイン制御部
  2. 適応ブロック長切換MDCT 変形離散コサイン変換
  3. TNS(Temporal Noise Shaping) 信号レベルの大きな箇所に量子化ノイズを集中させる技術。
     人間の聴覚の特徴を生かし、ノイズを目立たせなくすることが可能。
  4. インテンシティステレオ
  5. 予測部
  6. M/Sステレオ
  7. スケーリング
  8. 量子化器
  9. ハフマン符号化部

性能
 96kbpsで128kbpsのmp3を上回る音質を実現する。
 サンプリング周波数は96kHzまで対応し、最大48チャンネルのオーディオ信号と最大16チャンネルの重低音(LFE: Low Frequency Enhancement)に対応する。
 また、多国語チャンネル、データストリーム伝送も可能。

採用例
 MPEG-2 AACは、BS-4後発機でのディジタル放送での音声符号化方式や、地上デジタルテレビジョン放送に採用されている。MPEG-4 AACは、音楽分野を中心に広く使われている。
 パーソナルコンピューター携帯電話機家庭用ゲーム機携帯音楽プレイヤー等で一般的なのはMPEG-4 AACで、音楽配信サービスなどで盛んに音楽コンテンツが販売されている。
 パーソナルコンピューター等で一般的なファイルの形式はMP4コンテナーと呼ばれる形式で、拡張子は.mp4である。ただし、iTunes Music Storeなどで販売されている音楽ファイルはAACが採用されてはいるがDRMが導入されており、一般的な.mp4と互換性がなく、一般的なツールで再生することができない。例えばiTunes Music Storeのファイルは.m4pである。

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