Winny2
読み:うぃにーつー
外語:Winny2
2ちゃんねるのダウンロード板(通称ダウソ板)の47氏(
金子勇
)が開発していたP2P(
Peer to Peer
)ファイル共有機能付きの大規模P2P掲示板ソフトウェア。
Winny
1.14公開後に開発開始が宣言され、2003(平成15)年5月5日にβ1が公開された。
目次
製品情報
特徴
Winny2と事件
作者逮捕
作者逮捕の裏側
圧力
府警の犯罪
そして負けた府警
上告
製品情報
現時点での最新版は以下の通りである。
製品名 ‐ Winny2
使用途 ‐ P2P掲示板、
ファイル共有ソフトウェア
初出年 ‐ 2003(平成15)年5月5日(β1公開)
設計者 ‐ 47氏(
金子勇
)
開発者 ‐ 47氏(金子勇)
最新版 ‐ Winny2β7.1
影響関係
被影響 ‐
Freenet
加影響 ‐ Share、
BitTorrent
動作環境
Microsoft Windows
ライセンス
‐ 不明(フリーソフトウェア)
特徴
Winny1系との最大の違いは、BBS機能(掲示板機能)と、GUIまわりである。
BBSのみを利用し、ファイル共有はしない設定も可能となっている。それ以外の基本的な機能についてはWinnyと同様である。
但しプロトコルに互換性がないため、Winny1とWinny2は交信できない。
Winny2と事件
作者逮捕
破竹の勢いで利用者が増加し、その利用者は100万人とも200万人とも言われるようになったが、同時に著作権侵害の事件も増えた。
2003(平成15)年11月27日、著作権侵害(公衆送信権の侵害)の疑いで二人が逮捕され、同時に作者宅の家宅捜索も行なわれた。
この時、作者の逮捕は(特に違法行為をしていなかったため)出来なかったが、開発は途絶した。最終バージョンはWinny2β7.1となった。そして2004(平成16)年5月10日、作者は著作権法違反(公衆送信権の侵害)の幇助(ほうじょ)容疑で「京都府警」により逮捕された。
作者逮捕の裏側
圧力
Winnyを開発したことと、無料で配布したことについては、何の問題もない。
違法コピーで逮捕されている容疑者と「接点があったか」が唯一の問題であり、もしあるならば故意とみなされ有罪の余地はある。
ただ、もしこの件で有罪となると、Winnyの解説本(ネットランナーなど)などを提供した雑誌社(ソフトバンクなど)も同様に著作権違反の幇助となることは自明で、影響が大きい。さらにこれは出版の自由、表現の自由の侵害として大問題となる。
しかし雑誌社を放置しながら、Winny紹介ページの大手Winny Tipsの管理者宅を家宅捜索しページを閉鎖させるなど、自由、表現の自由の侵害は露骨に行なわれており、端的に言って京都府警は図に乗りすぎた。
だが、京都府警が暴走することには重大な理由が存在した。
府警の犯罪
京都府警を動かしたのは、ある一つの事件が切っ掛けである。
京都府警 下鴨署の巡査「りょう」が私有パソコンでWinnyを使ってダウンロードを繰り返し、ついに
キンタマワーム
に感染して捜査書類をネット上に放流するという不祥事を起こした。
常識的に考えれば、逮捕されるべきはWinnyを悪用したりょう巡査と、キンタマワームの作者である。
それまでは日本でも、このような「不正な利用者」(特にアップロード者)は逮捕されてきた。不正利用者の逮捕であれば、それは
国民
の大半の支持が得られるものと考えられる。
斯くしてこのままでは、府警は「身内の逮捕」を余儀なくされる。そこで「利用者」以外を無理矢理捕まえ、身内を逮捕しなくて済む道を模索した。府警としては、「利用」だけ(つまり、ダウンロードだけ)なら合法であることにしたかったのである。
また、上の不祥事で流出した捜査資料だけでなく、内部告発文書なども大量流出しているという話もあり、これが明るみとなれば本部長の謝罪会見で済むわけもなく、下手を打つと警察組織崩壊も有り得る。やましいことだらけの警察としては、形振りなど構っていられなかった。そこで、全世界をも敵に回すウルトラCを繰り出したのである。
そして負けた府警
一審の京都地検は、罰金150万円の有罪判決を出した。
懲役
刑ではなく罰金刑である理由は「著作権侵害を認識していたが、その状態をことさら生じさせることは企図せず利益も得ていない」ためとしている。
懲役一年を
求刑
した検察側は「刑が軽すぎる」として、被告・弁護側は無罪を主張してそれぞれ控訴した。
2009(平成21)年10月8日、大阪高裁は一審・京都地裁判決を破棄し、逆転無罪判決を言い渡した。小倉正三裁判長は「著作権侵害が起こると認識していたことは認められるが、ソフトを提供する際、違法行為を勧めたわけではない」とした。
こうして、下らないメンツのために、府警全体が大恥をかくことになったのである。
上告
2009(平成21)年10月21日、
判決
を不服として、大阪高検が
最高裁判所
に
上告
した。
しかし、上告が受け入れられるためには、次のような要件が必要である。
高裁判決には著しい事実誤認がある
または、有罪と認めるに足る新事実が発見された
これがなければ、
上告棄却
となる。なお、この上告の費用は税金、つまり国民の血税である。
インターネットの言論では、「厚顔無恥」「恥の上塗り」「
汚名挽回
」などと言われている。
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