Morphy One
読み:モルフィーワン
外語:Morphy One

 ユーザー主導の新型パームトップパソコン開発プロジェクトとして立ち上げられ、結果として失敗したプロジェクト。
 1999(平成11)年にNEC製のDOS版モバイルギアやHP製のHP 200LXなどが相次いで製造中止になりWindows CE搭載のH/PCに取って代わられたことを受け、少数派ニーズに応える全く新しいマシンを自力で開発してしまおう、という発想のもとに賛同者が集まって活動が開始された。
 基本設計は最も標準的なPC/AT互換機をベースとし、オペレーティングシステム(OS)などはROM内に持たず全てユーザー側で用意する方針となっていた。購入直後から使えるものではないため敷居が高い代わりにMS-DOSPC UNIXなどの汎用性の高い環境の構築が可能(ただし画面表示がCGAであるため若干の手直しが必要)。キーボード主体の小型軽量で乾電池だけで長時間駆動が可能なマシンを目標としていた。
 HP 200LXやモバイルギアなど既存のメーカー機との互換性については、権利問題も含め個人の限界を超えるため一切考慮しない。あくまで標準的な構成で汎用的に使われているOSやソフト資産が利用できることが求められていた。
 ハード設計はOHPA(Open Hardware Palmtop computing Association:オープンハードウェア・パームトップコンピューティング協議会)というプロジェクト実現に共感した有志の集まりによって行なわれた。ここで作られたハードウェア設計などの成果はGPLで公開される。
 ハードウェアの設計・製造・販売のための合資会社であるモルフィー企画が1999(平成11)年12月21日に設立され、OHPAの配布する設計データに基づいて購入希望者分だけを製造する。購入希望は、この会社より購入することになる。製造と販売に従う責任とリスクを回避するため合資会社という形態とし全ての判断と方針決定ができる代わり、無限責任を負うのは代表者 佐川豊秋(とよぞう)1人だけで、その他に有限責任社員がリスクを考慮した上で出資を行なうことになった。
 しかし、開発着手から4年経過しても試作機すら稼働せず、計画は2002(平成14)年末にほぼ停止、2003(平成15)年4月4日未明に購入予約者向けMLで佐川豊秋 無限責任社員(社長)により「合資会社モルフィー企画 法的整理の方針」が発表されることとなる。モルフィー企画の債務超過額は5000万円を超え、負債は全て社長が負うこととなる。
2000年2月1日現在で検討されていた仕様一覧
基本仕様:低消費電力, PC/AT互換周辺IO, CGA, マトリックスキーボード,
         ストレージデバイスはCFカード, 電池バックアップにより瞬時
         にON/OFFが可能.
電源    :単3電池×2, メモリーバックアップ用CR2032, DC-INユニットによ
         る外部電源供給可能(予定). (DC-INユニットは電池カートリッ
         ジと排他のいわゆるダミープラグ型. これは基板上のDC入力の
         省略による小型化と外部入力による電池への悪影響防止を考慮)
駆動時間:約10〜20時間. CPU/RAMバックアップは約2ヶ月間程度.
サイズ  :146(W)×80(D)×22(H)mm.(参考:HP 200LXは160×86.4×25.4mm)
重量    :275g(電池込み)(予定) (参考:HP 200LXは312g(電池込み))
CPU     :AMD製 Elan SC400(Am486コア) 4〜66MHz動的クロック変更可.
メモリー:32Mバイト(日立製作所製128Mbit EDO-RAM).
LCD     :エプソン製モノクロCGA(640×200ドット), 消費電力5mW.
BIOS    :標準でまず General Software OAK を購入, DataLight BIOS は
         別途考慮.
対応OS  :DOS, Microsoft Windows, Linux他, CGA対応のPC/AT互換機用OS. プリイン
         ストールはされないため, 別途OSをインストールしたCFカード
         が必要.
入力方式:80キー(独立10キーを含む). キーピッチ9.6mm.
拡張バス:CF TypeII×2.
外部I/F :ユーザープログラミング可能 Xilinx CPLD+拡張基板, メイン基板
         上にRS-232Cおよび赤外線ボート用ピン有り.
サウンド:メロディ用としてYAMAHA YMU757(4音同時FM音源)搭載.
拡張機能:当初はmp3プレイヤー子基板とRS-232C+IrDA子基板を予定.
添付品  :予備筐体2セット(破損時用の予備または改造用), マニュアル.
標準価格:8万円以下を予定.
出荷時期:2000(平成12)年2月を目標としていたが量産用部品の入荷が確定
         しないため未定.

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