フロッピーディスク
読み:フロッピーディスク
外語:Floppy Disk
磁性体を塗った可塑性のシートに、磁気の力で情報を記憶する記録媒体。
目次
概要
サイズ
末期
特徴
記録密度
容量
特殊フォーマット
後継
寸法の歴史
8インチ
5.25インチ
3.5インチ
3インチ
2インチ
ドクター中松
発明者?
実際の発明者
概要
サイズ
大きく、次の
直径
のものがある。
200mm (8インチ)
130mm (5.25インチ)
90mm (3.5インチ)
最初のものは、酸化鉄磁性体の塗布された8インチのプラスチック製ディスクで、1971(昭和46)年にアラン・シュガート(Alan Shugart)の先導でIBMエンジニアにより開発された。
その後5.25インチに小型化され「ミニフロッピーディスク」と呼ばれた。
小型化は更に進み、主流は3.5インチの「マイクロフロッピーディスク」となった。
小型化競争の中、3インチや2インチといったものも開発されたが、これらは殆ど普及しなかった。
末期
パーソナルコンピューター
でも普及し、
フロッピーディスクドライブ
のない機種など存在しない程であった。
しかし、後に
CD-ROM
が普及しユーザーへの供給用としてフロッピーディスクは必要性が薄まり、また
USBメモリー
などの普及により身近でのデータ交換用としてもフロッピーディスクは必要なくなったことで、一気に衰退した。
ドライブも最近ではあまり見かけなくなり、媒体についてもメーカーはどんどん撤退している。
三菱化学は2008(平成20)年10月2日、
3.5インチフロッピーディスク
媒体の販売を2009(平成21)年3月末で終了する、と発表した。既に原料の磁気ディスクが生産を終了しており、安定供給が難しくなったため、としている。
また日立マクセルも同様に2009(平成21)年春に撤退した。
ソニーは2010(平成22)年4月23日、同じく販売を2011(平成23)年3月末で終了する、と発表した。ソニーは3.5インチフロッピーディスクを世界で最初に商品化したメーカーだが、ここも撤退した。
残ったイメーションも2010(平成22)年6月10日、2010(平成22)年末までに全製品の国内販売を終了した。
特徴
記録密度
フロッピーディスクの場合は、最初に作られたものを
1S
(片面、単密度)とし、これを基準にして表わされる。
両面にすると単純に倍の容量が得られた。
1D
の片面倍密度、
2D
の両面倍密度では、記録密度が倍になった。
1DD
の片面倍密度倍トラック、
2DD
の両面倍密度倍トラックでは、トラック幅を半分にし、容量が倍になった。
2HD
の両面高密度倍トラックでは、セクタ方向への記録密度が倍になった。
2ED
の両面超高密度倍トラックでは、セクタ方向への記録密度が更に倍になった。
また、
2TD
などの特殊な高密度フロッピーも存在したが、高価だったりしたため普及しなかった。但し、後に上位互換かつ後継を標榜する大容量ディスクがいくつか登場した(後述)。
容量
容量は、3.5インチのもの。
容量は、面数、記録密度(xS、xD、xDD、xHD等)という物理的な仕様に加えて、セクター長(バイト/セクター)、セクター数(セクター/トラック)、トラック数(トラック/面)などのフォーマットによって容量が変化し、区別される。
以下は、MS-DOSやWindowsでのフォーマットを例とする。
名称
容量(単位:Kiバイト)
特徴
8セクター
9セクター
15セクター
38セクター
倍率
1S
80
×1
片面、単密度
2S
160
×2
両面、単密度
1D
160
片面、倍密度
2D
320
×4
両面、倍密度
1DD
320
360
片面、倍密度、倍トラック
2DD
640
720
×8
両面、倍密度、倍トラック
2HD
1280
1440
1200
×16
両面、高密度、倍トラック
2ED
2880
×32
両面、超高密度、倍トラック
2TD
9120
2HD
2HDの8セクターフォーマットは、5.25インチ互換の特殊なフォーマットである。実際には1トラック16セクターとなる。1クラスター8セクタ、1トラック2クラスターとして使用された。PC-9801で利用できたが、通常使用されるものではなかった。
2HDの9セクター系は、実際には1トラック18セクターとなる。1クラスター9セクタ、1トラック2クラスターとして使用された。
2HDの15セクターフォーマットは、PC-9801での標準的なフォーマットである。今では
2HC
と呼ばれることもある。
2ED
2EDの9セクター系は、実際には1トラック36セクターとなる。
2EDの場合、メーカーによって仕様が異なるものがあり相互に互換性がなかったようである。
特殊フォーマット
物理的な媒体は2HDだが、フォーマットだけを変えることで大容量を目指したものがあった。
通常の2HDディスクドライブで使用できるものは、知られる限りでは次のようなものがあった。
DMF
(1.68Miバイト)
XDF
(1.86Miバイト)
2M (1.972Miバイト)
これらは簡単にはコピーできないため、Windowsでも、フロッピー版で採用された。MS-DOSからはTSRを使うことでアクセスできる。
SuperDisk
ドライブでは、次のような特殊なフォーマットも使用できた。
FD32MB
(32Mバイト)
使用するヘッドは2HD用の幅125μm磁気ヘッドだが、トラックを18.8μmづつずらしながら重ね書きすることで777トラックを実現したものである。追記のみ可能。
後継
容量の多い2EDや2TDといったものは当時は普及しなかったが、しかしその後メディアの大容量化の要求により、フロッピーディスクの上位互換ディスクが次々と登場することになる。
知られる限りでは、次のようなものが「あった」。もちろん、全て過去形である(順不同)。
フロプティカルディスク
(21Mバイト)
SuperDisk
(LS-120) (120Mバイト)
SuperDisk 240 (240Mバイト)
UHC
(128Mバイト)
it
(UHD144) (144Mバイト)
HiFD
(200Mバイト)
なお、併記したサイズは古い情報からなので、今で言う
Miバイト
の可能性もある。
寸法の歴史
8インチ
直径200mmという、巨大なフロッピーディスクである。当然、
フロッピーディスクドライブ
も巨大であった。
ライトプロテクトは、所定の位置を自分で切り取る必要があった。再度書き込み可能にするには、切り取った場所に光を通さないシールを貼り付ける。
5.25インチ
直径130mmに小型化されたものがミニフロッピーディスクである。
パソコンではまずこれが広く普及し、一般には「5インチ」と呼ばれていた。
ライトプロテクトは、あらかじめ切り取られた場所にシールを貼り付ける方式となった(8インチの逆)。
PC-8800シリーズ
では生涯現役だった。
PC-9800シリーズ
でも初期は根強く使われたが、やがて3.5インチへと移行することになる。
3.5インチ
小型化は更に進み、主流は90mm(3.5インチ)のマイクロフロッピーディスクとなった。
5.25インチとは違い硬いケースに入り、またライトプロテクトはノッチ式になった。
3インチ
3.5インチの前に完敗を喫したが、
3インチコンパクトフロッピーディスク
というものもあった。
2インチ
スチルビデオカメラ
用に開発された記録媒体。
容量は720Kバイトで、写真を50枚記録できたほか、録音も可能だった。
ドクター中松
発明者?
フロッピーディスクは、ドクター中松が発明したという噂がある。彼は実際にフロッピーに関する特許を持っており、氏の名刺には、あたかも氏が発明者であるかのように書かれている。
しかし、彼が発明したのは円盤にデータを記録する(ジャケットに入れたままのレコードに書き込む)というだけで、フロッピーとは似ても似つかぬものである。
実際の発明者
実際にフロッピーを発明したのはIBMであり、訴訟を恐れたIBMが周辺技術の特許を買いあさった中に偶然ドクター中松の特許が紛れていただけで、ドクター中松が持っていた特許が「万が一」にも引っかる事があっては困る、という理由でライセンス契約を結んでいる(いた?)と言われている(普通に考えればまず引っかからないといわれているが)。
このように、保険的な意味合いを持たせた契約というものは外国では良くあるので、IBMとの契約がフロッピーの発明者がドクター中松であると決定付けるのは早計であるが、
日本人
が世界に先がけてこのような技術を開発していたということは事実である。
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