HR図
読み:エイチアーず
外語:HR diagram: Hertzsprung-Russell Diagram
天体の分類に使われる代表的な2次元の図のこと。
概要
1905(明治38)年に、デンマークの天文学者エイナー・ヘルツシュプルング(Einar Hertzsprung)と、アメリカの天文学者ヘンリー・ノリス・ラッセル(Henry Norris Russell)により考案された。
縦軸に光度(絶対等級)、横軸に温度(スペクトル型)をとる2次元の図であり、ここに恒星を記す。
特徴
由来
恒星は同じ温度系列(同一スペクトル型)に属していても、星の明るさ(光度)がかなり違っていることがヘルツシュプルングとラッセルの研究で明らかとなった。
そこで、温度と光度(絶対等級)の2次元の図にプロットしたところ、恒星は図上で一定の群をなして分布していることが明らかとなった。そこで、この温度と光度を軸とする図を、発見者の名からヘルツシュプルング・ラッセル図(HR図)と呼ぶようになった。
分類
基本的には、表面温度や色によって分類する。表面温度の範囲については、学説により様々あるので、ここでは一例とする。
型 | 表面温度(K) | 色 |
O型 | ≧30,000 | 青 |
B型 | 10,000-30,000 | 青〜青白 |
A型 | 7,500-10,000 | 青白〜白 |
F型 | 6,000-7,500 | 白〜黄白 |
G型 | 5,300-6,000 | 黄 |
K型 | 4,000-5,300 | 橙 |
M型 | 3,000-4,000 | 赤 |
型 | 表面温度(K) | 色 |
L型 | 1,300-3,000 | 暗赤 |
T型 | 750-1,000 | 暗赤(赤外線) |
L型とT型は褐色矮星を表わすため近年導入された、極めて低温の天体を表わすものである。
このほか、特殊な型として、次のようなものも使われる。
- W型: ウォルフ・ライエ星 (表面温度はO型以上)
- C型: 炭素星 (シアン暗帯が著しい星。表面温度はM型〜K型程度) 炭素により青い光が吸収され、非常に赤く見えるのが特徴。
ハーバード式分類法では、M型の分流をN型、K型の分流をR型としている。
- S型: 酸化ジルコニウムの暗帯が著しい星 (表面温度はM型程度)
なお、OBAFGKMの順番を覚えるときは、"Oh Be A Fine Girl/Guy, Kiss Me"(ああ、素敵な彼女/彼になって、私にキスをして下さい)とするらしい。日本語では「お婆河豚噛む」などの覚え方がある。
細分類
分類を更に分けるときは、文字の後に数字0〜9を付ける。最も高温であるものが0、低温であるものが9である。
更なる細分が必要なときは小数や±をつけて表わす。
分布
この図に恒星を記しても一様に分布するようなことはなく、大体3ヶ所に分布するようになる。
この図のメリットは、星の明るさとスペクトル型から星の大きさを調べる事ができる点にある。
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