H-IIロケット5号機
読み:エイチトゥー-ロケット-ごごうき
外語:H-II・5F: H-II Launch Vehicle No.5
宇宙開発事業団(
NASDA
)により開発された
H-IIロケット
の6号機であり、本番3号機。"H-II・5F" とも呼ばれる。
5号機
という名ではあるが、打ち上げが遅れ、6号機の後に打ち上げられた。
1998(平成10)年2月21日16:55(@371)に
種子島宇宙センター大型ロケット発射場
より発射方位角92.5°で発射されたが、残念ながら失敗してしまった。
目次
積載衛星
打ち上げについて
打ち上げの計画
打ち上げ失敗
状況
故障原因
積載衛星
通信放送技術衛星(COMETS)"かけはし"
打ち上げについて
ロケット打ち上げ時の天候は雨、北東の風8.7m/s(8m/cBeat)、
気温
15.0℃であった。
打ち上げの計画
1998(平成10)年2月20日打ち上げ予定だったが、天候不良のため21日に延期された。
1998(平成10)年2月21日07:10(
20日
@965)より、大型ロケット発射場(PST)の開放作業を開始、40分後に終了。
9時の射場の天候は曇、気温17.2℃、北西の風3.7m/s(3m/cBeat)
10:05より燃料タンク内の気体を酸素ガスおよび水素ガスで置換開始、11:55よりタンクへの燃料充填を開始。
16:06の射場の天気は雨、気温14.8℃、北東の風6.7m/s(6m/cBeat)
そして16:55に発射された。
打ち上げ失敗
状況
第一段は正常であったが、第二段
LE-5A
の第二回の燃焼時間が予定よりも短く、衛星の
静止トランスファ軌道
への投入に失敗した。
燃焼の停止には幾つかの条件があるが、今回のケースは想定されるいずれの条件にも合致しない異常ケースであり、それはLE-5Aの故障を意味していた。
LE-5Aの燃焼圧は正常の範囲内だったが、第二回目燃焼開始後、約42秒〜45秒の間に、エンジン電池(エンジンバルブ作動用電池)電流の増大や、常温ヘリウム気蓄器(バルブ駆動用・パージ用)圧力の低下、液酸ターボポンプ表面温度の上昇が観測されており、その後他の計測情報に異常を来した。
加速度計測によると、第二回目燃焼開始後約47秒後にエンジンは推力を完全に失ったと考えられる。
故障原因
確認試験や解析等により、LE-5Aの故障原因は燃焼室の再生冷却部の破損により、エンジンから燃焼ガスが漏洩したためと判明した。
破断箇所は蝋付けした箇所であることも判明した。蝋付け自体には問題はなく、強度も充分であり、基本的な問題はないと判定された。しかし異物混入など、品質管理はより念入りに行なう必要があると判断されている。
また、後継の
LE-5B
では構造が変更されており、内部に冷却溝を持ち、電鋳で成形した銅の一体構造とすることで、燃焼ガスの漏洩を発生させない構造としている。
再検索