GPGPU
読み:ジーピージーピーユー
外語:GPGPU: General Purpose Graphics Processing Unit
並列処理と演算を得意とする
GPU
を、グラフィック描画処理という本来の目的だけではなく、一般の計算用途にも利用するもの。
目次
概要
特徴
計算性能
得意分野
応用(悪用)例
概要
GPUは、より高速に画面を描画したいというゲームなどの需要に対応すべく独自の進化を遂げた
プロセッサー
である。
グラフィック描画が専門のGPUは、CPUとは違い条件分岐などが弱く、また
キャッシュメモリー
なども積んでいないため一般のプログラムを実行するには向いていない。その分、集積トランジスタ数を計算機能に振り分けることが可能で、過酷な性能競争の中、GPUあたり計算ユニット数が100を超えることも珍しくは無くなった。
このためGPUは並列処理に長けており、また画像処理などの目的で作られた演算に特化したプロセッサーであるため、一般のCPUには難しい物理シミュレーションなどの科学計算にも向いている。
特徴
計算性能
GPUは、CPUほど賢くは無いが、計算は断然速い。条件分岐が入る処理は苦手だが、単純な計算処理の並列化では絶大な力を発揮する。
このため、
スーパーコンピューター
はじめ
HPC
(高性能計算機)の分野でも注目を集めている。従来のベクトル型やクラスターによって高性能化を実現してきた高性能計算機でも、GPUを採用しはじめている。
例えば、AMDの
クアッドコア
プロセッサーOpteronの2.3GHzを4個搭載した計16コアシステムでは演算処理性能が約147GFLOPSであるが、
NVIDIA
のGPUコンピューティング向け製品「Telsa」シリーズは、1GPUで500GFLOPSを超える計算能力を持っている。
得意分野
膨大な計算を要する処理、例えば
地球シミュレータ
のような気象シミュレーションや、信号処理などが応用範囲である。
但し、GPGPUが最も得意とする分野は、言うまでも無くグラフィックス処理である。
応用(悪用)例
GPUを用いた
パスワードクラック
ツールとしてighashgpuなどが作られた。1〜2万円で購入できる安価なGPUのRADEON HD 5770と組み合わせた場合の計算時間などが公開されている。
CPUを用いると1秒間に980万パターンの試行が可能で、5文字のNTLMログインパスワードは24秒で突破できる一方、GPUでは瞬殺で1秒間に33億パターン程度が可能とした。6文字のパスワードでは、CPUでは突破に90分程度を要するが、GPUではたったの4秒、7文字にするとCPUでは4日間を要するが、GPUでは17.5秒で突破できるとする。
使用する文字種を増やした例としては、記号やスペースを加えた7文字のパスワードはCPUで75日、GPUで7時間、9文字の大文字小文字混在のランダム文字列ではCPUで43年、GPUでは48日と試算されている。
GPUでのコンピューティングが実用化された現在、もはや一般的な長さのパスワードは簡単に突破されるものとなったと言える。
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