黄色ブドウ球菌
読み:おうしょくぶどうきゅうきん
外語:SA: Staphylococcus Aureus

 ブドウ球菌属に属し、動物の腸管内や皮膚に常在する細菌ブドウ球菌のうちの一群。
目次

情報

分類
 真正細菌ドメインには真正細菌界しかないので、界は略されることが多い。

生態
 芽胞を形成しない、通性嫌気性菌で、グラム陽性球菌である。
 葡萄糖を嫌気的に生成できるが、通性嫌気性であるため、酸素存在下でも生育できる。

概要
 食中毒の原因となるグラム陽性の細菌である。また、吹き出物や水虫などにも存在する化膿性疾患の代表菌である。
 自然界に広く分布し、健康な人でも喉や鼻腔から高率で検出され、皮膚や腸管にも存在する。

特徴

毒性
 菌自体は熱に弱いが、食物中で増殖する時に作られる「エンテロトキシン」という蛋白質毒素は熱に強く、100℃で30分の加熱でも分解されない。
 菌は酸素が無くても毒素を作る事が可能で、また塩分にも強い。汚染されたら最後、如何なる食品でも危険となる可能性を持つ。
 このエンテロトキシンは当初SEA〜SEEの5種類が知られていたがその後も発見が相次ぎ、2006(平成18)年時点では18種類が報告されている。

黄色
 黄色の名前の由来は、寒天培養すると黄色であり、また顕微鏡で観察すると葡萄の房のような集落を作っていることから、とされる。

耐性菌
 もともと黄色ブドウ球菌はペニシリン感受性であったが、現在分離される黄色ブドウ球菌はほぼペニシリン耐性である。加えて、ストレプトマイシン耐性、セフェム系耐性を獲得しているものも多い。
 そんな中で、抗生物質メチシリンが効く種をメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)というが、やはりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)も登場し、難治性の感染症となっている。最終兵器ともいわれるバンコマイシンの耐性菌になると、もはや殆ど使用できる薬がなく、極めて難治性の感染症となる。
 大まかには、次のように分類される。

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