読み:うなぎ
外語:eel

 ウナギ目ウナギ科に属するの総称。あるいは、中でも代表種である学名Anguilla japonicaを単に鰻といい、区別するときにはこれを日本鰻(ニホンウナギ)という。
目次

情報

分類

魚類
 鰻はいわゆる「魚類」であるが、分類学上、魚類というものは存在しない。
 これは便宜上使われている表現で、実際には魚類とは何かを定義することはできないからである。
 また脊索動物については現在分類関係が混沌としており、綱と目の間に区を設定する案が出されている。

毒性
 鰻は、身は無毒だが血液には「イクシオトキシン」という神経毒を含む。
 加熱で無毒化するため、鰻は原則として生食はせず、蒲焼きなど加熱して食される。
 但し、熱湯で湯霜し冷水で締める「湯洗い」で刺身にする料理は存在する。

生態

幼生から稚魚
 鰻は謎の多い生き物である。
 南海で卵から孵化した仔魚は、北赤道海流によって西に流され、そして黒潮に乗って北上し、3ヶ月〜半年を掛けて日本近海へと到達する。その間に仔魚はレプトケファルスという透明な幼生に成長し、幼生はシラスウナギと呼ばれる稚魚に変態する。
 そして稚魚は、河川などの淡水中で成魚であるウナギへと成長する。
 このような生態のため、孵化してから稚魚になるまでに何を食べているのかが長く判明しなかった。

産卵
 鰻は、鮭とは逆に、川で育ち、海に産卵する。このため鰻は淡水でも海水でも生育できる。鰻は海水魚から進化し淡水で生活できるようになったものと考えられている。
 成長した鰻は海に戻り、産卵場所へ回帰して産卵するが、河川で育った鰻がどのような経路で産卵場所へ回帰するのかは分かっていない。
 産卵場所については様々な説があったが長く不明で、明確に特定されていなかった。塚本勝巳・東京大海洋研究所教授らの研究グループによると、グアム島の北西約200km「スルガ海山」に産卵場があることが突き止められた。

呼吸
 鰻は鰓呼吸皮膚呼吸を行なっている。
 このため空気中でも、体さえ濡れていれば呼吸が可能で陸上でも生育でき、水場を移動するために自ら陸上に出る鰻も存在する。

完全養殖
 卵から成魚まで育て、その成魚の卵を再び孵化させることを完全養殖という。
 鰻の場合、卵の孵化までは比較的早期に成功しながら、その後シラスウナギまで育てることに長く成功していなかった。世界で初めてこれに成功したのは、独立行政法人水産総合研究センター(養殖研究所)である。
 1998(平成10)年に人工孵化仔魚を全長10mmまで、1999(平成11)年には孵化後250日以上の飼育に成功し、体長30mm前後のレプトケファルス幼生にまで成長させることに世界で初めて成功した。
 飼料の研究も進められ、2003(平成15)年、孵化後230日から260日程度で変態を始めて20日間程度でシラスウナギへと変化することを確認、シラスウナギまでの飼育に世界で初めて成功させたことが発表された。
 また、人工孵化させた鰻を親鰻に成長させ、更に次の世代の稚魚を誕生させる「完全養殖」にも、2010(平成22)年に世界で初めて成功させた。2010(平成22)年3月末に25万個余りの卵が生まれ、このうちの75%が孵化したとする。
 但し、人工孵化や孵化直後の養殖については莫大な費用が掛かるとされ、現時点においては養殖産業における実用化の目途は立っていない。

輸入鰻問題

前提
 まず前提として、鰻は「高級魚」である。
 本物の国産が、近所のスーパーマーケットで1,000円程度で購入できたりはしない。また、デパートの品も殆どが支那産であり、国産と書かれていてもそれは高い確率で産地が偽装されている。
 現在、国産の鰻が食べられるのは鰻専門店しか存在しない。鰻専門店でも、怪しい店は存在する。

支那鰻
 支那産の鰻より相次いで、水銀砒素、そしてありとあらゆる抗菌剤抗生物質などが高濃度で検出された。
 高濃度の水銀や砒素はヒトの健康に影響を及ぼす可能性がある。また、動物実験で発がん性が判明している抗菌物質も検出されている。以上の理由により、アメリカでは第三者機関の証明書なしでは輸入禁止となっている。

台湾鰻
 2008(平成20)年夏の土用の丑の日(2008(平成20)年7月24日)が近付く6月、台湾産を輸入する小売店が増えていることが報じられた。
 支那産よりは格段に信用出来ると思われるが、台湾産でも抗菌剤がたびたび検出されているため、安全かどうかは疑問が残る。
 実際、2005(平成17)年には、安全な食品を宅配するとするサービス「らでぃっしゅぼーや」が台湾産鰻を「国産」と偽装した上、その鰻から国内法で魚への使用が認められていない合成抗菌剤エンロフロキサシンが検出されて、大問題となったことがある。

状況
 このような状況にも関わらず、日本鰻輸入組合(業界団体)は「支那政府がきちんと検査している」「鰻は安全である」の一点張りで極めて不誠実な態度を改めようとしなかった。
 業界団体が「安全宣言」をしているそばから、続々と汚染された鰻が発見され摘発が続いた。鰻業者は自分たちの利益しか考えておらず、安全宣言など何の根拠もない。
 アメリカとヨーロッパで事実上の輸入禁止となったため、大量の在庫の「捨て場」が日本となった。2008(平成20)年には過去類のない「鰻ブーム」が起こされたが、日本の消費者も馬鹿ではないので、皆が避け、大量の売れ残りが発生した。
 支那産と堂々と書けば全く売れないため産地偽造が横行し、結果として、消費者は鰻全体を忌避するようになった。
 悪貨が良貨を駆逐する典型例である。もはや、国産と書かれていても誰も信用などしない。

混入毒
 これまでに、混入が確認された抗菌剤、抗生物質に、次のようなものがある。日付、場所は、報道された主なもの。
 その他に検出された有毒なものに、次のようなものがある。

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