終止コドン
読み:しゅうしコドン
外語:termination codon

 遺伝情報を記述する64種類のコドンのうち、対応するアミノ酸がなく、蛋白質合成を終了させる働きを持っているコドンのこと。
目次

概要

開始と終了
 蛋白質合成は開始コドンより始められ、この終止コドンの手前で終了する。

種類
 三種類あり、それぞれUAG(オーカー)、UAA(アンバー)、UGA(オパール)という。なお、U(ウラシル)はRNAの塩基であり、DNAではT(チミン)が対応する。
 この三種類は遺伝子中に満遍なく(各33%ずつ)登場するわけではなく、偏りがある。
コドンヒトチンパンジー
UAA オーカー30.022.4
UAG アンバー23.322.1
UGA オパール46.755.5
 UGA(オパール)が約半数であり、それ以外をUAG(オーカー)とUAA(アンバー)が補っている形である。

リードスルー

現象
 通常、終止コドンで合成は終了する。従って、遺伝子と呼んだ場合は、開始コドンと終止コドンの間の配列をいう。
 しかし近年の研究によると、この終止コドンを読み飛ばし、その後にある配列も翻訳を実施する例が、少なからず見つかっている。こういった現象をリードスルーという。
 ストップコドンより後にある配列を遺伝子と呼べるのかどうかは議論の対象だが、このような現象によって、その蛋白質の機能を変えたり、不活性化して機能を止めたりし、もって蛋白質の機能の調整や制御をしている可能性が示唆されている。

人為的なリードスルー
 例えば筋ジストロフィーでは、ジストロフィン(dystrophin)などの遺伝子が点変異などで変異し中途終止コドンが生じ、もって蛋白質が正常に合成されないなどによって起こる。
 ここで、人為的にリードスルーを起こせれば、その後にも蛋白質の合成が進められ、もって蛋白質が作られると考えられ、治療に役立つ。こういった事を、ゲンタマイシンなどの抗生物質で行なう研究が進められている。

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